グルメ
SNSきっかけに生まれた居酒屋直伝アルティメット版「枝豆レシピ」
「焼くだけ」と思いきや、料理人のこだわりが……
八百屋さんで聞いた「焼き枝豆」のレシピを投稿したら、居酒屋の料理長から「もっとおいしい作り方がある」と伝授されて――。イラストレーターの斉藤ロジョコさん(@rojyoko)がツイッターに投稿した「料理長直伝の焼き枝豆レシピ」に反響が集まっています。普段は日本酒や宮城のおいしい食べ物を発信している斉藤さんは「気兼ねなく居酒屋で枝豆をつまめる日が早く来るように…と願いつつ、家で日本酒を楽しみながら試してみてほしい」と話しています。
東京出身で、小さな頃から枝豆が好きだったという斉藤さん。「3人きょうだいでしたが、まっ先に自分が食べ尽くしてしまって『残しておいてよ』と怒られるほどでした」と振り返ります。
居酒屋でもよく頼んでいましたが、ゆでたものではなく「焼き枝豆」を出すお店もありました。しかしその味を自宅で再現しようとしても、一部が生だったり焼けすぎたり、あまりうまくいきませんでした。
すると、枝豆を買った八百屋さん「阿部青果店」(仙台市)で、「水につけてから焼くとおいしいよ。枝豆がキュッキュッといったら食べごろ」とレシピを教えてもらいました。早速実践してみると、焼きムラはほとんどなく、香ばしくて冷酒にぴったり。
「すごく簡単だし、これは多くの人に伝えなければ!とイラストに描いて投稿しました」
私の大好きな枝豆の季節がやってまいりました!
— 斉藤ロジョコ イラ酒トレーター (@rojyoko) July 7, 2021
仙台の居酒屋さんが経営する八百屋(阿部青果店)で枝豆ゲットした時に焼き枝豆の作り方を教えてもらったのでシェア。
これは簡単!水に浸けるのがポイントだったのか(焼きムラが出て生だったりすること多かった)。
そして旨い!おススメ方法♪ pic.twitter.com/czpiMVnwpW
ツイートは思わぬ反響を呼びます。同じ内容をFacebookにも投稿すると、居酒屋のおかみさんから「もっとおいしい作り方があるんだって」とメッセージが届きました。
作り方を尋ねると、居酒屋の料理長が直々に「6時間水につける」「できるだけ動かさない」「アルミホイルを使う(フライパンに合うフタがあればそちらでもOK)」といった料理人ならではの細かなポイントを動画つきで教えてくれました。
試してみると「こっちもおいしい!味がぐっと濃くなった」と感じたそう。そこで「アルティメット版」としてレシピを再投稿。
焼き枝豆の作り方がバズっていますが
— 斉藤ロジョコ イラ酒トレーター (@rojyoko) July 9, 2021
水面下でなんと「(社長より)もっと美味しい作り方がある」と同居酒屋グループの料理長Kさんからレシピを伝授頂きました(拡散了承済み)!
こういう流れ大好きです♪
早速「おうちでできるアルティメット焼きえだまめの作り方」をシェア。比べてみて下さい! pic.twitter.com/N15Oda14rA
こちらのレシピにも2万を超える「いいね」が集まりました。
ツイッターでは「早速作ってみました」「おいしい」といったうれしいリプライが寄せられ、多くの人の「枝豆愛」を感じたという斉藤さん。
「ウイスキーが合うと教えてもらって試してみたんですが、確かに枝豆の香ばしさとスモーキーさが相まってぴったりでした。もちろんスッキリした日本酒でも合いますよ。夏酒ならなんでもおすすめです」
結婚を機に、10年前に宮城・仙台へ引っ越してきてから日本酒にハマったといいます。イラストレーターとして日本酒のラベルを描いたり、日本酒知識を解説した記事を書いたりしています。「まさか日本酒が仕事になるなんて思ってもみませんでした」
牛タンが有名な仙台ですが、斉藤さんは豆類や野菜のおいしさも知ってほしいと訴えます。
大豆の生産量が全国2位で、宮城産の豆腐や納豆もとても美味だといいます。枝豆は「仙台ちゃ豆」といった独自の品種もあり、八百屋さんで新鮮なものが手に入るそうです。
「枝豆のおいしさは鮮度が一番影響を受けるそうで、宮城に引っ越してきてラッキーでした」と笑います。
レシピを教えてくれた料理長が働く居酒屋は、仙台で居酒屋を経営する「KYOTAファクトリー(強グループ)」の1店舗です。グループは、斉藤さんの通う「阿部青果店」も経営しています。
コロナ禍で売り上げが減って廃業しようとした仕入れ先の青果卸を、強グループが事業承継して生まれた青果店です。
売り上げ減に苦しむ居酒屋経営ですが、「飲食店には協力金が出ているけれど、卸や酒蔵・生産者には出ていない。手助けし合ってコロナ禍を乗り切りたい」という思いから、事業を引き継ぐことを決めたといいます。
斉藤さんは、酒蔵についても「昨年より製造量をかなり減らした所が多い」と聞きました。
「日本酒は酒造りのスパンが長いので、本当につらい時期です。少しでも飲んで応援したいとは思っていますが……」
コロナ前は、居酒屋で飲んでいたら、お店の人がおすすめの日本酒を教えてくれたり、偶然となりに座った人から「その酒蔵の田植えがあるからおいでよ」と誘われたり……。宮城県の酒造組合や酒蔵が開く日本酒講座に出かけることもありました。
日本酒を楽しむ人と酒の作り手の距離が近い宮城では、お酒をめぐって、さまざまな偶然の出会いがあったといいます。
もちろん「飲み方は大事」と思いつつも、そんなお酒にまつわるコミュニケーションはなくしたくないと感じているそうです。
「懸命に対策をしているお店もあります。お酒ばかりが悪者になっているように感じてしまう」と指摘する斉藤さん。「『大好きだった飲食店がすべて閉店してしまった』なんてことにならないでほしい」と願っています。
「居酒屋で日本酒を飲みながら、気兼ねなく枝豆をつまむ日々が早くきてほしいです。市場の新鮮なものを料理人が料理してくれたものがおいしいに決まってますから。それまでは自宅で、この焼き枝豆レシピを楽しんでほしいです」と話しています。
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