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庭のスズメを半年間、お世話したら…母の日に思わぬ「恩返し」が!
我が家がいつの間にか鳥の楽園に
かわいがっていたスズメが生まれた雛を見せに来てくれた――。母の日に投稿されたそんな投稿がツイッターで話題になっています。投稿者に話を聞きました。
寄り添う2羽のスズメが写っていて、こう説明が添えてありました。
この投稿には、「スズメの恩返し」「めちゃめちゃかわいい」「母の日に、自分の雛をつれてお礼にきたんですね」などとコメントが寄せられ、12万超のいいねがつきました。
半年間ずっと毎日スズメのお世話をしたら、この春に生まれた雛を見せに来てくれた。泣きそうになった!😭💕 pic.twitter.com/WdPKmjPf1z
— ゆるる (@umechocomint) May 9, 2021
投稿したゆるるさんに話を伺いました。
2羽のスズメがやってきたのは、「母の日」の5月9日でした。
ゆるるさんが自宅の窓辺近くにいたところ、窓のすぐ近くに置いてあるサクランボの植木鉢に、2羽のスズメが降り立ちました。
そのうち一羽はあまり見慣れない明るい茶色の羽。ぎこちない飛び方。「ひなだ!」と分かったそうです。「隣にいるのはお父さんかお母さんかな」
警戒心が強く、いつもはなかなか窓の近くまで来ないスズメたちが、窓の近くまで来てくれた――。普段とは違うスズメたちの行動に、ゆるるさんは「ひなを見せに来てくれたのかな」と感動しました。
写真にはうつらなかった場所に、別の親スズメと小スズメもいて、様子をうかがっていました。
親子4羽のスズメの一家。親は子どもたちに、庭でエサの取り方を教えているように見えました。
その時の様子を振り返り、ゆるるさんはツイッターのコメントに「ちょっと泣きました」「こんなにうれしい『恩返し』は初めてです」と返信しています。
ゆるるさんとスズメの交流が始まったのは半年ほど前でした。
ゆるるさんの家の周りには、まだ自然が多く残っており、スズメをはじめとした野鳥が身近にいました。
ある日、庭にメジロが遊びにくるようになったそうです。
長年、花を楽しめるように手入れをしていた庭は、ガーデンフェンスや庭木のおかげで、カラスなどの天敵が入って来られませんでした。それが、小さな野鳥たちにとっては「安心できる場所」になっているようでした。
その光景を見たゆるるさんは、「庭を、野鳥が過ごしやすいようにしたら、鳥は来てくれるだろうか?」と考えました。
相手は自然に生きる野鳥。どんなことをしたらいいのか、逆に何をしてはいけないのかを、「インターネットで調べまくった」そうです。
鳥たちが好きな実がなる、サクランボやグミ、ブラックベリー、ザクロなどの誘鳥木を植えました。そして、水浴び場(バードバス)を3つ、庭に置きました。水は清潔になるようにこまめに替え、暑くなってくると1日に2回水替えをしました。
庭には農薬なども使わないようにしました。発生する虫たちを、鳥たちも喜んで食べているそうです。
食べ物が少なくなる冬場には少しエサをあげていましたが、あたたかくなってきて虫や食べ物が増えてくると、ほぼ与えないようにしました。
冬場に鳥たちが食べこぼした何粒かの穀物が庭に落ちて、春には自然と庭のあちこちに麦などが育ち、スズメたちがおいしそうについばみました。
庭には、4~6羽ほどが遊びにくるようになりました。特に身近な存在だったスズメたちのことは、「鬼滅の刃」に出てくるキャラクターから「チュン太郎」と呼びました。
「愛着が沸いて、いつも気にかけるようになりました」
鳥たちが遊びに来るために工夫を凝らす庭作りは、コロナ禍で自宅時間が長くなる日々の中、ゆるるさんの楽しみになりました。
「鳥たちは表情やしぐさが人間みたいで、『こんなにかわいかったんだ』と知りました。これまで、鳥にはあまり縁がなかったのですが、今では家族のように感じます」
スズメの写真をツイッターに投稿すると、「スズメは最近見なくなった」などの声も寄せられました。大きな反響に戸惑いつつも、ゆるるさんは「これを期に、少しでも野鳥が暮らしやすい自然環境を残してもらえたらと思います」と話しました。
野鳥を庭に呼ぶときには、どんなことを気を付けたらいいのでしょうか。
環境省自然環境局野生生物課鳥獣保護管理室に聞きました。
「野鳥に対して、安易にエサを与えることは、法に触れる行為ではないものの推奨はしていません。人間がエサを与え過ぎるとそれに依存してしまうことにつながりかねないからです。植物や獣を捕って食べる自然の姿を楽しんで頂きたいです」と言います。
特に気を付けたいのは、観光地などで見かけるカモや白鳥など渡り鳥を大量に集めるようなエサの与え方で、「渡り鳥が密集することで、鳥インフルエンザなど感染症が広がるリスクが増えてしまいます」と言います。
一方で、スズメやツバメなど「人の生活と共生している鳥たち」もいます。そんな鳥たちにとっては、庭を手入れしたり、軒下に作る巣をあたたかく見守る行為は、「それも一つの自然環境ととらえることもできます」と話しました。
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