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これ東京メトロだ!チャイナドレスに路線図、異色イラストに絶賛の声
「公式のポスターに」「絶対着たい」
大都市の下に、網の目のごとく広がる地下鉄。その複雑な路線図を盛り込んだイラストが、SNS上で人気を集めています。私たちにとって身近なモチーフが持つ、意外な価値に気付かせてくれる一枚が生まれた経緯とは? 作者に話を聞きました。(withnews編集部・神戸郁人)
4月25日、一枚のイラストがツイッター上で公開されました。
描かれているのは、「チャイナドレス」を着た人物です。襟元に視線をやると、分厚い生地編み込まれた、生地のつなぎ目が見えます。ちょっと確認しただけでは、よくあるデザインと思えるかもしれません。
しかし、つなぎ目の部分に目をこらしてみると、東京都内を走る地下鉄・東京メトロの路線図の形であると気付きます。しかも背景とともに、銀座線ならオレンジ、丸の内線なら赤と、各線のシンボルカラーに染まっているのです。
イラストには、同社が運行する全9路線の図が、同じ構図で描き分けられています。目にも楽しいデザインが話題を呼び、元ツイートには、今月7日時点で約9万「いいね」がついています。
手掛けたのは、香川県に住む20代の会社員・みっけさん(@qk_micke)です。ありそうでなかった発想は、どのようにして実現したのか? 本人を取材しました。
元々クイズが好きだったという、みっけさん。出題されそうな事柄についてまとめる中で、列車の路線図や、そのシンボルカラーが気になり始めます。そこで、首都・東京の地下鉄に着目したのです。
みっけさんは、自分が知っておきたかったり、覚えておきかったりするモチーフを意匠化してきました。「楽しく知る」をコンセプトに、誕生日の花やお酒についてまとめた「366日の誕生○○ステッカー」などを作った経験もあります。
「路線図も、ただまとめるだけでは覚えられません。そこで、楽しく記憶するため、何かと組み合わせようと考えました。好きなものを列挙していくうち、チャイナドレスを見て『襟元が使えるかも』と思ったんです」
路線の形を強調するため、ドレスの生地は全て黒に。頭の中にイメージが残りやすいよう、最低限の情報だけ盛り込んでいます。路線図を崩さず、かつドレスらしさや、衣服としての機能を保つため、線の起点を置く場所にも気を配ったそうです。
トーキョー・メトロ・チャイナ👲 pic.twitter.com/JGeQVwjtcN
— みっけ (@qk_micke) April 25, 2021
イラストを見た人々からは、チャイナドレスを着た人物が、両耳に付けているピアスを評価する声も上がりました。
一方は、各路線名をローマ字表記した際の頭文字を、シンボルカラーの円で囲んだマークがあしらわれている、吹き流しのような形です。対をなすものは、それぞれの路線名が、日本語で表記されています。
「ピアスの見た目も、路線図に出てくるマークです。線の形と一緒に覚えられるよう、補足情報として、ドレスに合うものを取り入れました。路線名の字体は、中華らしさを演出しつつ、アクセサリーとしても成立するフォントを選んでいます」
ツイッター上では「東京メトロの公式ポスターに使える」「可愛いし、鳥肌が立った」「売られていたら絶対着たい」といった感想が飛び交っています。こうした反応について、みっけさんは次のように語りました。
「『いいね』やリツイート、コメントなど、本当にうれしいです。『他の路線でも見たい』というご要望もたくさんいただいたので、考えてみようかなと思います」
「世の中には、文字だけだったり単調な図であったりすると、なかなか頭に入らない情報もたくさんあります。そこに自分のデザインを加えることで、少しでも誰かの役に立てばいいな、と感じています」
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