連載
#11 猫と警備員、ほっこり攻防の日々
猫と警備員、雨は別れの予感 「しばらく会えんのがわかるんかのう」
猫と警備員の少し不思議なやりとりです。
美術館に入ろうとする猫と、防ごうとする警備員のやりとりで話題になる尾道市立美術館(広島県)。警備員がやってくる特別展が終わりにさしかかったころ、ちょっと不思議なやりとりがありました。
近くのレストランで飼われている黒猫ケンちゃんが、最初に注目を集めたのは2017年3月。
開催中だった「猫まみれ展」の会場に入ろうとして、警備員・馬屋原定雄さんに阻止される様子がツイッターで紹介されたのがきっかけでした。
その後も「猫と警備員の攻防」としてたびたび話題になっていますが、侵入を試みるのは決まって警備員が馬屋原さんの時ばかり。
馬屋原さんが来るのは年4回の特別展の時だけなので、そのたびに美術館職員は攻防戦を期待してカメラを構えています。
『一緒ニャ。👮♂️🐈⬛Let's go together.』(20210504)🎨嬉しくて、まとわりつくケンちゃん。#尾道市立美術館 #猫 #黒猫 #cat pic.twitter.com/kKvPsknQAy
— 尾道市立美術館 (@bijutsu1) May 4, 2021
今月5日までは、春の特別展「愛のヴィクトリアン・ジュエリー展」を開催。
馬屋原さんは基本的に週6日警備を担当していて、開館前は連日のように事務所入り口付近でケンちゃんと「密会」していました。
会期中は来館者が多いため、人が多い時間を避けて触れ合っていたようです。
最終日の前の日にあたる4日は、事務所前でケンちゃんが待ち構えていて、馬屋原さんと「同伴出勤」。
その様子を撮影していた美術館職員によると、いつになく長くまとわりついていたそうです。
「最終日は雨予報で、実際に雨が降ったんです。雨の日はケンちゃんは来ないので、しばらく会えなくなると思って、おもいきり甘えているように見えました」
馬屋原さんも同じことを思ったようで、「しばらく会えんのが、わかるんかのう」と話していたそうです。
『ニャんだ⁈🐈⬛ Huh! Why! 』(20210506)🎨警備員さん👮♂️、いないの⁈とケンちゃん。#尾道市立美術館 #猫 #黒猫 #cat pic.twitter.com/sMhz7FROsw
— 尾道市立美術館 (@bijutsu1) May 6, 2021
最終日は雨で美術館に来なかったケンちゃん。特別展が終わった6日朝は晴れたこともあって、事務所前にやってきました。
「ニャーン」と2回鳴いて床にゴロリ。馬屋原さんを探すようにして、2日前に一緒に戯れていた場所を眺めていました。
「ケンちゃんは特別展の会期がわかっていたのでしょうか。そんなわけはないでしょうに、どうしてあんなに名残惜しんでいたのか。やっぱり馬屋原さんとケンちゃんの間には不思議なつながりがあるんでしょうね」
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