連載
#4 眠れぬ夜のレシピ
てんでダメな日の最強の粉……甘い香りが癒やす、眠れぬ夜のレシピ
「きっと今回も乗り越えられる、大丈夫」
てんでダメな日。一番大切なのは、休むこと。でも、もし「食べたい物」が頭に浮かんだら、それは回復に向かうサインかもしれません。「こんなにたくさんのケーキを焼けるんだから、きっと大丈夫」。漠然とした不安に飲み込まれそうな夜を、少しでもあたたかい気持ちで過ごせるように。あなたに贈る、真夜中のレシピです。手紙を添えて、お届けします。(漫画・コラム、午後)
こんばんは、午後です。
新年度が始まりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
私は毎年のことながら、花粉症に悩まされています。今年は特に飛散量が多いようですね。花粉対策のメガネと目薬が手放せません。
さて今夜は、私が何もできない日に作ることの多い、簡単なカップケーキのレシピをお届けしました。
とは言え、本当に何もできない日は、ボウルを出すことすら億劫でとてもできないので、大人しく“何もしない”をすることに集中しています。ですが、案外これが難しく、今でもダメな日はやっぱり自分のことを責めてしまいます。
でも人間はロボットではないので、本来バイオリズムはつきもののはずです。ダメな日は、とことんダメになって休む。そして、回復したらまた動く。これで良いのだと思います。
この世界は自分が止まっていても、その間誰かが必ず動いてくれているので大丈夫にできているのです。そのために私たち人間は太古の昔から、社会という名の群れを成してきたのだと思います。
私がてんでダメな機械関係の仕事に就いてくれている人のおかげで、今日も私はデジタルの絵が描ける。
私には何も分からない医学に精通している人のおかげで、今日も私は自分に必要な薬が飲める。
体力ゼロの私には到底こなせない仕事をしてくれている人のおかげで、今日も私は頑丈な家の中で眠ることができる。
自分がしていることも、巡り巡って必ず誰かのためになっていると、私は信じています。
私も元気な時は(私がダメな時に動いてくれた誰かの為に、自分のできることを微力ながら頑張ろう)と考えています。私は、社会という大きな流れの中に、自分も属していることが嬉しいのです。
回復に必要なものは十分な休息です。回復したらまた、自分と同じ誰かが困った時の助けになれるように、心身ともにしっかり休むぞと、最近は調子が悪くなったら意気込んでいます。
新生活の始まりや季節の変わり目などで、心身の調子が狂いやすい時期かと思います。息がしにくくなった時は、このコラムを思い出して、少し肩の力を抜いていただけましたら、私は心から幸いです。
それでは、今夜も素敵な夢が見られますように。
おやすみなさい。
午後
SNS作家。2020年5月からTwitterに漫画を投稿をしている。今年1月に初の書籍「眠れぬ夜はケーキを焼いて」(KADOKAWA)を出版。Twitterアカウントは@_zengo。
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