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すみだ水族館「売れ残りガチャ」で完売続出 「ヤケ」企画に絶賛
捨て身の自虐ネタが、まさかの大人気に
東京スカイツリーのふもとに建つ、すみだ水族館(東京都墨田区)。館内の土産物店で実施された、半ば「ヤケ」とも思える企画が、絶大な人気を集めました。売れ残り商品を、工夫を凝らしつつ店頭に並べる発想に、称賛の声が寄せられたのです。捨て身の自虐ネタが誕生した経緯について、取材しました。(withnews編集部・神戸郁人)
話題を呼んだのは、「大決算!売れ残りガチャ」と題して、同館が今年3月に実施した企画です(22日に終了)。
館内の土産物店の一角に据えられた、特設販売コーナー。これまでに売れ残った商品が入った、ピンクやグリーンなど、淡い色彩の箱が並んでいます。その表面には白抜き文字で、全11種類の不思議なコピーが刻まれているのです。
「何が入ってるか分からない。でも、お得はお得です」。そんな惹句(じゃっく)通り、値段は求めやすい500円均一。1日に水族館の公式アカウントから投稿された、画像付きの関連ツイートには、「企画者は天才」「最高にわくわくする」とのコメントが連なりました。
「在庫処分」という、ネガティブな評価を受ける恐れもあった、今回の取り組み。危機を逆手に取るアイデアとして昇華できた理由を、すみだ水族館広報担当の山口亜矢子さんに聞きました。
きっかけは、経営母体を同じくする、京都水族館(京都市下京区)スタッフとの雑談だったといいます。
「年度末の決算について話していたときのことでした。『ショップの売れ残り、すごいよね』と。昨年以降は、新型コロナウイルスの影響で、イベントの延期も相次いだ。少しでも、お客さんに楽しんでもらえる企画を打ちたいと考えました」
何が入っているかわからない。そのスリルを味わって欲しいと、商品の詳細は全て非公表に。そしてコンセプトを端的に表現する上で、ガチャガチャにちなむ、「ガチャ」という単語をタイトルに配しました。
特にこだわったのが、箱のデザインです。コピーの考案にあたり、店舗の販売員などが、実際に口にしていた言葉を採り入れました。
「今回取り扱った商品には、2012年5月の開館当時から、ずっと売れ残り続けているものがあります。かと思えば、爆発的に売れたから再入荷したら、泣かず飛ばずという一品も存在する。どれも質は良いのに、みんな正直『何で?』と感じていたんです」
「だったら、もう本音を書いちゃおうと。一人ひとりの感情を、全面に押し出すようにしました」
「売りにくい」といったフレーズも、包み隠さず盛り込んだ結果、お客さんに好感をもって受け止められました。3月1日に発売すると、4日間で売り切れに。急きょ箱を追加発注し、20日に再販したところ、今度はわずか2日間で完売したといいます。
なお箱の色は、鮮やかなパステルカラーです。春らしい装いで、売り場を華やかにしたい、との気持ちを込めています。
一方、京都水族館でも、同時期に「ガチャ」企画を実施。こちらの箱は、館の名物展示である両生類・オオサンショウウオの黒っぽい体色にちなみ、黒地に白抜き文字というデザインを選択しました。
ツイッター上には、商品を購入した人々の声があふれています。「もらっても損はない」「予想以上に素敵」。すみだ水族館側の思いをくんだのか、商品の詳細に関する投稿は控えられ、優しさが感じられる空間が広がりました。
この状況について、山口さんは振り返ります。
「きっと『売れ残り品を救いたい』と思ってくれた人が、たくさんいたんだろうなと思います。実際、そうした趣旨の、購入者によるツイートも目に入りました。『ネタバレ』を防いでもらえた点も含め、お客さんと一緒につくった企画と言えます。本当にありがたいです」
「ガチャ」企画は既に終了しましたが、同館では引き続き、様々なイベントを実施中です。現在は、ミズクラゲが生息する直径7メートルの水槽を、タンポポの映像で彩る演出「たんぽぽとクラゲ」が、5月30日まで楽しめます。
一連の取り組みを通じて、水族館に興味を持った人々に対し、山口さんは次のように話しました。
「ウイルスの影響もあり、世の中全体が、どうしても暗くなりがちな今日このごろです。当館の展示を見て、少しでも明るい気持ちになって頂けたら、うれしく思います」
\お題/
— すみだ水族館【公式】 (@Sumida_Aquarium) March 1, 2021
本日より、館内ショップにて
『大決算!売れ残りガチャ』
を販売いたします✨
どんなものが入っているでしょう⁇
👉引用RTで予想してね#すみすいガチャ#売れ残りガチャ#売れ残りには夢がある#あんなものいいな#入ってたらいいな pic.twitter.com/3k3X29ZYg9
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