話題
市営バスに「西部警察」ポスターが出現! 石原軍団と地元の深い縁
キャッシュカード 絶対渡さない――。力強いセリフとともに、刑事ドラマ「西部警察」に登場する石原裕次郎さんや、8月に78歳で亡くなった渡哲也さんの写真を使った神奈川県警鶴見署のポスターとチラシが、10月6日から横浜市鶴見区を中心に「出動」しています。来年1月に「解散」する予定の石原プロが、ある縁をきっかけに、ゆかりの地での恩返しという思いで協力しました。
JR鶴見駅西口から数百メートルの横浜市鶴見区。小高い山の上にある総持寺には、石原プロを設立し、1987年に亡くなった裕次郎さんが眠る墓があります。
石原プロの専務取締役を務める浅野謙治郎さん(73)は、裕次郎さんの生前から弔う場所を探していたそうです。「ヨットや海が大好きな裕次郎さんから『海が見えるところを探してきてほしい』と頼まれたんです」
こうしたことから、総持寺の節分会では今も「石原軍団」の俳優ら著名人が豆まきを行い、多くの人でにぎわっていますが、1999年7月3日に行われた裕次郎さんの13回忌法要には、それを、はるかに上回る人が集まりました。
当時の朝日新聞記事によると、法要当日の午前9時には約5万人が並びました。裕次郎さんの顔写真を張ったワインと日本酒のセットが先着5万人に無料配布されたことが背景にあったようです。
受付で参列者が住所や名前などを記帳したこともあり、なかなか列が進まず、正午ごろには、約13万5千人に。浅野さんは、「裕次郎さんが大事な撮影や催しをやろうとするといつも雨が降る。その日も雨で駅に人が集まってしまいました」と振り返ります。
ただ、寺につながるJR鶴見駅周辺の道路は車と人の列が続き、「車が通れない」や「店を営業できない」といった苦情も相次ぎました。
「あの時にご迷惑をおかけした地元の方々に、啓発というかたちでお返しができるなら。警察の方々には、警備などでご協力をいただきました」
浅野さんには今もこんな思いがあり鶴見署への協力で恩返ししているのだと言います。
鶴見署は、裕次郎さんや渡さんの写真を無償で使う許諾を石原プロから得て、ポスター1千枚、チラシ1万8千枚を作り、区内の駅やバス車内で掲示したり、公共施設に配布したりすることにしています。
B3サイズのポスターには裕次郎さんと渡さんが、A5サイズのチラシには無線を手にした渡さんが、それぞれ鋭いまなざしで特殊詐欺防止を訴え、おなじみの「西部警察」の字体も「鶴見警察署」として登場しています。
署では、2014年~16年にも、石原プロや郵便局の協力で、裕次郎さんの写真などを使い、年賀状や暑中見舞いの時期にはがきを各家庭に配布しました。ただ、ポスターやチラシの作製は初めてです。
石原プロが来年1月16日で所属俳優のマネジメント業務を終了することから、須藤正彦署長が「最後の機会になるかもしれない」と9月上旬に石原プロに依頼したそうです。
署の管内では、今年10月5日までに56件の特殊詐欺が発生し、被害額は約1億2千万円に上っていて、どちらも県内の54署で2番目だそうです。石井清一郎副署長は「特殊詐欺の主なターゲットは裕次郎さんら『石原軍団』を見てきた世代。ご協力に感謝しています」と話しています。
1/8枚