ネットの話題
「おなじみパッケージ」スニーカーに手描き、コロナ逆手に才能開花
「心を込めて描いていただいているのが伝わってきて、愛情を感じます」
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「心を込めて描いていただいているのが伝わってきて、愛情を感じます」
馴染みのお菓子や袋麺のパッケージ、調味料など、まるでスーパーの商品棚を見ているかのような商品パッケージが描かれたスニーカーが、ツイッターで話題です。描いたのは「好きなものを描いただけなんです」と話す、北陸地方の女性。コロナ禍で職を失った時間に描き始めたという作品の背景には、並々ならぬ商品への愛情がありました。
ブルボン製品の「ルマンド」や明治の「チェルシー」、井村屋の「あずきバー」、そして、アイコンにもなっている、イトメンの「チャンポンめん」――。それらを白地のスニーカーに描いた写真に「スニーカーに普段食べている好きな物を描いています。イトメンとブルボンに偏りがち」と言葉を添えたツイートを投稿したのは、「美味しそうなスニーカーの人」こと、北陸地方に住むちゅんさん(仮名)です。ツイートは2万件以上リツイートされ、約7万件の「いいね」がついています。
企業の公式ツイッターも次々に反応。イトメンがリツイートしたり、亀田製菓が「ハッピーターンもある!!」とリプライをつけたり……。「かわいい」「ほしい」といったコメントも数多くついています。
スニーカーに普段食べている好きな物を描いています。
— 美味しそうなスニーカーの人 (@hOpQTKSkHnbQILM) August 31, 2020
イトメンとブルボンに偏りがち。#誰か優しい人が拡散してくれてフォロワーさんが増えるらしい
便乗していいかな… pic.twitter.com/i6YKrCV6gv
ちゅんさんがスニーカーに商品パッケージを描き始めたのは今年7月。10年前にもスニーカーに、タトゥーで描かれるようなイラストを描いていたことはありましたが、商品パッケージをモチーフにしたのは今回が初めて。
実はちゅんさん、新型コロナウイルス流行前までは、イベント会場をキッチンカーで回り、クレープやタコライスなどの飲食物を提供する仕事をしていましたが、コロナ禍で仕事がなくなり、現在は「廃業こそしていないものの、車も動かせていません」。
自宅にいる時間が長くなったことで、「ペイントの仕事を再開しようと思い、練習がてら好きなものを描いてみたんです」と、自宅にある「好きな食べ物」のパッケージを描くようになりました。
中でも、ちゅんさんがツイッターのアイコンにもしているイトメンの「チャンポンめん」に関しては、「イトメンが心から本当に大好きなんです」と熱く語ります。
富山県出身のちゅんさんは、西日本を中心に販売されているイトメンの「チャンポンめん」とは幼い頃からの付き合いといい、「一緒に住んでいたおばあちゃんがつくってくれた」思い出の味。いまも「365日でこそありませんが、ほぼ主食です」と直近の一週間は毎日食べているそう。
新商品の予告が出れば、その発売日を楽しみにするほどのファンです。
今回スニーカーの画像を投稿したアカウントも、元々はイトメンの公式ツイッターをチェックするためだけに開設したものでした。
ちゅんさんの投稿には「チャンポンめん」に反応する声も。「(同じインスタント麺を扱っている)日清ほど全国くまなく販売している商品ではないので、地方の人などが喜んでくれているのかもしれない」と声を弾ませます。
ちゅんさんがスニーカーに商品パッケージを描くときの手順はこうです。まず、商品パッケージと真っ白なスニーカーを隣同士で並べて10分間ほどにらめっこ。「どうするとかわいいかなあ」と、限られたスペースの中でその商品パッケージの魅力を最大限落とし込める方法を考えます。
その後は、ボールペンなど「細い線が出るもの」で、下書きをして、アクリル絵の具やバイクのヘルメットなどに文字やイラストを入れる際に使う「ピンストライプ」などを使って色を付けていきます。
早いもので3~4時間ほど、「チャンポンめん(タヒチ風)」は、2日間かけて描きました。「チャンポンめんってかわいいなあって思いながら描いています」
そんなちゅんさんのツイートについて、イトメンの広報担当者に取材をすると、「すごいリツイート数でびっくりしている。たくさんの商品パッケージの中から選んでいただき大変ありがたい」とした上で、「恐らく弊社のファンでいてくれている方だと思います。心を込めて描いていただいているのが伝わってきて、愛情を感じます。きれいに描いていただきありがとうございました」。
商品パッケージの魅力について、ちゅんさんは「どの商品も、ずっと愛され続けているパッケージで、味のあるもの。私の『描く技術』がすごいのではなく、元々のパッケージデザインがすてきなんです」と語ります。
今回、ちゅんさんのツイートに多くの反応があったことについては、「予想外で、混乱状態から一切抜け出せません」。一方、ダイレクトメールなどには、ツイートを見た人たちから「スニーカーに絵を描いてほしい」といった依頼も入っているようで、「これまでの仕事は先が厳しいなと思っている。イラストが生業になれば」と期待しています。ただ、商品パッケージを描いたスニーカーについては、著作権の関係上販売していません。
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