自分の好きな作品や食べ物について、手がけた人に「好き」と伝えることはありますか?高校生の時に書いた、パン屋さんへの「ファンレター」の経験から、「好きを伝えながら生きたい」という思いを込めたマンガに共感が集まっています。コロナ禍の中で、作り手との直接的なコミュニケーションが取りにくい今、「ネットや手紙の存在はありがたいなと改めて感じます」という作者に聞きました。
高校生の頃のじじぃさんが出会ったのは、おいしいパンでした。「この幸せを誰かに伝えたい」と思ったじじぃさんですが、「この気持ちを共有できる友達がいない…」。
「ということでご本人に伝えよう」と筆をとったじじぃさん。このお店のパンが好きな気持ちを、手紙にしたためて送りました。
その数日後、じじぃさんはパン屋さんのブログで送った手紙のことが触れられていることを発見。気持ちを形にしたことで、本人に思いが届くのだと実感します。
最後に描かれているのは、大人になったじじぃさんです。今でも良い本に出会うと、ファンレターやツイッターで感想を送り、「死ぬまで好きを伝えながら生きたい」としめくくられています。
マンガには、「好きを形にして伝える なんて素敵な事」「こういう風に生きていきたい」「プラスなことはどんどん発信するべき」というコメントが寄せられ、5万件以上のいいねが集まっています。
漫画を描いたじじぃさんは、作中に登場するパンを「ほっこりするパンでした」と振り返ります。
遠方にあるパン屋さんから通販で購入したもので、直接「好きです」と伝えることが難しい状況。もともと文字や絵を描くことが好きで、「自分自身が手紙をもらえて嬉しかった経験があった」ということから、手紙を書いて伝えるということを思いついたそうです。
ブログもよくチェックしていたそうですが、「本当に読んでもらえるかどうかも分からないなか手紙を送ったので、反応までいただけて驚きました」。そのうれしさから、今でもブログのスクリーンショットを保存しているそうです。
その後も、自身の「好き」の気持ちを本などの作者に伝えているというじじぃさん。自分の思いを形にする際に、心がけていることもあるようです。
「いつも勢いにまかせて書いてしまうので、書き終わった後に受け取った相手が嫌な気持ちにならないか冷静になって見直すようにしています」
また、相手に思いを伝えることで「見返りや返事が欲しい」というプレッシャーを与えてしまわないように気をつけているといいます。
「今でも『この感動を誰かに伝えずにはいられない!』という気持ちで書いているので、かなり自己満足的なところがあるのですが……。その感想や手紙が、受け取った方の力になったならうれしい限りです」
現在ではマンガを発信し、作品を生み出す側でもあるじじぃさん。自身が感想を受け取ることも経験しました。
「自分は感想を送る側だと思って生きてきたので、今感想をいただけていること自体まだ不思議な感じがします。感想を見ると、人によって捉え方が違うことが分かって面白いです。好きですといっていただけた時は素直にうれしいです」
今回のマンガにも、「いい話」「好きを伝えられる人間になりたい」などたくさんの反響が集まっています。
「コロナ禍によって会いたい人に直接会えなかったり、伝えたいことを伝えられない影響も大きいのかなと思いました。ネットや手紙の存在はありがたいなと改めて感じます」
じじぃさんの作品にも「好き」が集まり、作品を通じて「好き」を伝える気持ちを広がっていく。じじぃさんの作品にも「好き」が集まり、作品を通じて「好き」を伝える気持ちが広がっていく。マンガを中心に、やさしいつながりが生まれていました。