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#23 注目!TikTok
外に出たい猫vs阻止したい猫 2匹の「戦い」動画に思わぬ反響
「お願いします」の声でやってくる「お兄さん猫」
飼い主が玄関から出かける度に脱走を試みる猫「チェロ」を、やさしく阻止しようとする猫「フルート」が「賢すぎる」とTikTokで話題になっています。玄関のドアの前で巻き起こる攻防戦を記録した動画は、平日は毎日更新され、すでに80回以上公開されています。一体なぜフルートはチェロを止めるようになったのか、飼い主に聞きました。
出かけようと玄関に向かう飼い主。しかし玄関では外に出たい「チェロ」が、ドアが開くのを今か今かと待ち受けています。
飼い主の「お願いします」の声で颯爽と現れたのは、もう1匹の飼い猫「フルート」。慣れた手つきでチェロの首の根元をかんで、押さえつけてくれています。
チェロは反抗したり、甘えるような表情で飼い主を見上げたりしていますが、フルートは淡々とチェロの動きに合わせて姿勢を変え、外に出ないように阻止しています。
「ほら、今のうちに」と言わんばかりの様子のフルートに、飼い主は「ありがとうございます」「(ドアを)開けます」「行ってきます」と敬語で出かけていきます。
飼い主さんによると、フルートを飼い始めたのは2014年の3月。チェロはそのおよそ1カ月後に家族の仲間になりました。飼い始めた当時いずれも生後半年ほどだったそうで、年齢も同じくらいのオス同士。しかし動画からも伝わってきますが、2匹の性格は対照的なようです。
脱走を阻止するフルートは「『お兄さん猫』ですね」と話す飼い主さん。活発なチェロを後ろで見守っているタイプだそうですが、「実はチェロをちょっとうらやましく思っているみたいで、寝る時によく布団に入ってくるのはフルートの方です」。
一方、チェロについては「ざっくり言うと『犬』です」。「ずっと鳴いていて、『触ってくれ、構ってくれ』っていう感じで、初対面の人でも人見知りしないんです」
そんな2匹ですが、最初から「脱走」と「阻止」の攻防が行われていたわけではありません。
チェロはもともと野良猫だったこともあり、以前から外に出たがりだったそう。玄関から出ようとするのを、飼い主さんが止めたり、外に出たチェロを抱きかかえて家の中に入れたりしていました。
「フルートはその様子をいつも後ろから見ていて、冗談半分で『見てるんやったら止めてよ』『頼むわ、見てるだけとかいらんから』って言ってたんです」
すると、転機は2年ほど前。フルートがチェロを押さえるようなしぐさをし始めたのだといいます。しかも当初はフルートがお気に入りの人形をくわえたまま、体だけでかぶさる形だったそう。これにも飼い主さんが「おさえつけられてないやん」「茶番してるなー」と声をかけていると、チェロの首根っこをかんで本格的に止めるようになったといいます。
フルートのこうした行動について、飼い主さんは「以前からフルートは、チェロが人に絡み出すと怒ったような態度を示すことがあって、人が困ってるところを察しているような気がします」と語ります。
6月19日に投稿された第81回の時点で、フルートが68勝、チェロが13勝。フルートが優勢ではありますが、時々阻止しきれずチェロがドアの外に出てしまうようです。
しかし念願の「フルート突破」の後も、チェロはどこかへ飛び出すわけでもなく、「ドヤ顔してるか、目の前の草をかじってるかですね」。
実は、飼い主さんは「そんなに外に出たいなら」とリードをつけてチェロを散歩に連れ出すことも試しているそうですが、いざ家から出ると「完全拒否のポーズ」。両前脚を広げて、ここから動くまいとふんばっています。「家から出たがるのも、構って欲しいだけなんでしょうね」
動画が話題になったことについて、「正直、同じルーチンの動画なのでうけないかなと思ったんですけど、『毎回違って楽しい』というコメントをいただけてうれしい」と飼い主さん。フルートやチェロになりきった、セリフのようなコメントも寄せられることがあるといい、「くすっとなります。面白いです」。
投稿を始めた頃は、再生回数も20回ほどだったそうですが、いまやTikTokのフォロワーは7万人。「頑張ってやっていこうと思っています」と話しています。
YouTubeチャンネル「フルート&チェロ 脱走防止ねこの奮闘日記」では、基本的には平日18時に動画が更新されています。今日の勝負はどうなるでしょうか。
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