マンガ
「天国でずいぶん文字が下手に」亡き夫から手紙、漫画で描いた送り主
「いいねを押す手を止められない」
愛する夫の死を受け入れられず。亡き夫に宛てて手紙を書く女性。ところがある日、来るはずのない返事が届きます。開いてみると、妻を気遣う手紙は、とても拙い文字でつづられていました――。家族の愛にあふれる漫画に、ツイッターでは「泣ける」「いいねを押す手を止められない」と反響が集まっています。作者に聞きました。
「じょうずな手紙」 pic.twitter.com/FiuggafxII
— 江戸川治@短編集発売中 (@edoosam) March 5, 2020
「夫が病死してからも 私はずっと受け入れられずにいました」
返事がこないことを知りつつも、亡き夫に手紙をしたため、大切にしまっていた女性。しかしある日突然、来るはずのない返事が届いたのです。開いてみると、ひらがなばかりの文章。とても拙い文字が並んでいます。
「夫は 天国でずいぶん文字が下手になったらしいです」
手紙を読む女性の後ろから、幼い子どもが心配そうに見つめています。そう、母を気遣う息子が、「父」の代わりに返事を書いてたのです。
「お父さんから返事きたの? よかったね~ お母さん手紙書いてたもんね!」
涙ながらに「ありがとう!」と答え、母はわが子を抱きしめます。
それから場面は変わって数年後。そこには、また母に宛てられた手紙が……。
「今でも落ち込んでいるとたまに 夫から手紙がきます」
「夫の文字は昔に比べたら上達しましたよ ねえ あなた…」
漫画「じょうずな手紙」を描き、Twitterに投稿したのは漫画家の江戸川治さんです。これまでもTwitterで発信した漫画が、何度も大きな反響を集めており、「いつも目を引くおもしろい話になるように心がけてます」。
江戸川さんは今回の漫画を描いたきっかけとして、「ショートを描く時に『手紙』を扱ったものはけっこう話を考えやすいので、手紙から話を膨らませて考えていきました」といいます。
Twitterでは、作中の親子が抱き合う場面で、「影が夫婦のように見える」という考察も行われていました。これについて江戸川さんは、細い線がスキャンの際に消えてしまうもので、「意識したものではない」としています。
「でも、自分の漫画を色々考察されてるのは嬉しいし、答えとかないので各々感じたように受け取ってもらって大丈夫です」
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