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電車が通ると絵の中の少女が……どうなってる?「ふしぎ動画」が話題
ノートに描かれている少女の髪が電車が通るとなびいたり、2次元の100円玉を取り出したり……。そんな「すこしふしぎ動画」をツイッターに投稿している若手マンガ家がいます。そのセンスは、トリックアートとして、テレビ番組にも取り上げられるほど。「前職のスキルと組み合わせて、僕ならではの作品ができました」。どのように漫画ができるのか、創作の経緯を聞きました。
電車が横切るイラスト pic.twitter.com/ZdMUxEgYL9
— つのだ ふむ🗯 (@tsunoda_fumm) September 6, 2019
絵に描いた100円を
— つのだ ふむ🗯 (@tsunoda_fumm) August 12, 2019
一瞬だけ2次元に侵入して取りに行く。
一瞬ならギリOKなんだけど、
ほんの数秒遅れたら指が絵になって戻ってこれなくなるからこわいです。
これがおれの、危険と隣り合わせの
金の稼ぎ方。 pic.twitter.com/He4SgmwHbK
実際の作品はどのようにできるのでしょうか。仕掛けについて、つのださんは「一言でいうなら『特撮』です」。色々な場面をスマホで撮影し、その素材を編集して動画が完成します。
例えば、少女の後ろを電車が横切る動画では、まず同じ場所で少女の絵と電車を別々に撮ります。その後、動画編集アプリを使って、素材をつなぎ合わせたり、加工したりしていきます。
「電車が来るまでノートとカメラを構え続けたので、地味に大変でした。また、ノートに水を垂らす動画も多いので、僕のノートはすごいしわしわです(笑)」
アナログな撮影とデジタルでの編集。つのださんは、二つのスキルを掛け合わせて、不思議なニュアンスの作品を作り出しています。
この掛け算については、「マンガ家を志す前の仕事が生きている」とつのださん。
「コルク所属前の4年間は、仲間と立ち上げた映像制作会社で働いていました。なので、映像の基本的なスキルがあります。大したスキルではないですが、それをマンガ業界にスライドさせると、思ったよりいい反応をしてもらえることに気づきました」
「一連の作品にはa-haのMVのオマージュがあり、映像業界にとって特別なスキルではありません。いまはマンガ家である僕が、アイデアを組み合わせることで、色んな人に喜んでもらえたのかなと思います」
つのださんの作品はTBS系テレビの『王様のブランチ』にも紹介されました。「少し複雑なんですけど、これまでアップしていたマンガより反応がいいことも結構あって。ブランチでは『トリックアート』という紹介で、『トリックアートだったんだ』と初めて知りました」
さきほど王様のブランチで流れた、
— つのだ ふむ🗯 (@tsunoda_fumm) September 21, 2019
描きおろしの
佐藤栞里さん すこしふしぎ動画👇 pic.twitter.com/opsq5lBpVR
ブランチの放送後、つのださんのアカウントを訪れる人は増え、コメントもたくさん寄せられました。「存在を知ってもらうという点では、成功だったと思います」
ただ、「すこしふしぎな動画」は話題になってもあくまで、「副業」と位置づけています。「本業」では、フルカラー、縦スクロールのウェブ連載を11月に始める予定です。
「タイトルは仮で『りさこのルール』。偉人の言動を真似ばかりして、自分を持たない男『園田』は、絶望的な出来事に見舞われたある夜、圧倒的に自分の世界を持つ『りさこ』に出会う。その日から、園田は自分のルールを作って生きるべく奮闘するというあらすじです」
「今回の動画を通じて知ってもらった人には、『ああ、本来はこういうものを作るんだ』と思ってもらえたらいいなと思います」
佐渡島さんはつのださんを、「(担当した)『宇宙兄弟』の小山宙哉さんや『君たちはどう生きるか』の羽賀翔一さんと出会った時と同じくらいの衝撃を受けた」と評しています。創作の様子をnoteやSNSで公開しながら、ファンも一緒にその過程が楽しめるようにしているつのださん。最後に、意気込みを語りました。
「『縦スクロールマンガ界の手塚治虫』は世界中でまだ誕生していないと思うので、僕ががその王冠をまず手中におさめたい!!と思ってます。すこしふしぎ動画よりも、ずっと期待して待っていてもらえたら嬉しいです!!」
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