連載
#24 コミチ漫画コラボ
「寂し…」夢見た分だけ舞い散った 漫画で描く「花火大会の黒歴史」
花火は私たちの胸を高鳴らせ、そして儚く散っていく……。
「あの子、私たちと彼氏の前じゃ全然態度違うよね」。そんな風に言えるほど、まだ大人になっていない頃。今まで一緒に笑って泣いて、思い出を全部を分かち合ってきたつもりだったのに、見たこともない表情で、恋人を見つめる親友。スポットライトの外にいる自分に気付き、ただただ戸惑い、そこはかとなく感じる敗北感。
でも大丈夫と言いたい。私たちはそうやって距離感を測りながら、間違えながら、支え合っていくのだと思います。そんな最初のボタンの掛け違いを、思い出させてくれた作品です。
ぼっちのメリットといえば、相手に合わせず自分が思うままにイベントを楽しめることがありますよね。漫画のように、複数人では満席のスペースにもスッと入り込める自由度の高さもある。そんな「ぼっち」を楽しんでいる人にとって、とても共感できる作品ではないでしょうか。
でも、この楽しみを誰かと共有したい気持ちも、もちろんある。その抑えきれない気持ちが最後のコマにあふれ出てて、思わず「わかるー」とつぶやいてしまいました。
浴衣でおめかしして花火大会。同級生にも会っちゃうかな? ワクワクが止まりません。でもお母さんの「お姉ちゃん」の言葉で、あっという間に高揚感がしぼんでいきます。
妹は悪くない。わかっているからこそ、ぶつけようのない悔しさと、そんなことを思ってしまう自分への罪悪感で心はぐちゃぐちゃ。優しいタッチの絵が効果的で、遠い記憶と重なり、読後に胸のどこかがぎゅっと締め付ける作品でした。
好きな人と花火大会に行くとなれば、もうこの夏の最重要イベントはこれに決定です。浴衣はもちろん、髪形やアクセサリーだって完璧に仕上げたい。それはもうプロスポーツ選手のように、コンディションを整えていくのです。
その結果、100%のパフォーマンスを発揮することばかり意識してしまって、相手と一緒に楽しむ気持ちを隅においやってしまうんですよね。逃がした魚は大きかった。でも、大切なことを教えてくれたのかもしれません。
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