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「君の名は。」新聞広告、中国人も感動 SNSで飛び交った言葉
映画「君の名は。」のテレビ放送に合わせ、6月30日の新聞に掲載されたある両面広告が話題になりました。主人公の瀧と三葉が別々の紙面(世界)にたたずむように見えますが、紙面を光にかざすと、夕日の中、2人が出会うシーンに。新海誠監督もツイッターで反応するほど、SNSで拡散されましたが、中国でも「好きな人へのプレゼントにしたい」などと話題になっています。中国でもテレビやウェブのCMが話題になることが多いだけに、新鮮に映っているようです。
広告が掲載されたのは6月30日の朝日新聞朝刊です。テレビ欄にまず、振り返る三葉の姿が。「続きは中面広告で」とつづり、中面を開くと映画の名シーンが登場します。
光の前にたたずむ瀧。普通に見ると、そこに三葉はいません。紙面には「この面を表にして、光にかざして見てください」。そこで、紙面を光にかざすと……。
瀧の正面に浮かび上がってきたのは三葉の姿。そして、瀧の名セリフもよみがえります。「言おうと思ったんだ…お前が、世界のどこにいても、俺が必ず会いに行くって。」
新海誠監督も「うれしい広告です」とツイートしたこの広告は、日本だけにとどまらず、中国版ツイッターの微博(weibo)でも拡散しました。中国国内外の映画情報を取り扱う「新浪映画」というアカウントが紹介すると、リツイートが5000件、いいねは3万5千件以上集まりました。
「君の名は。」は中国でも人気の映画です。中国国内では5.7億元(95億円)を超える興行収入を記録し、この収入を含めた興行収入でみると、「君の名は。」が日本の興行収入歴代1位の「千と千尋の神隠し」を上回ります。
そうした背景もあり、今回の広告への関心は高いものとなりました。
微博では、「すごいアイデアで、とても甘酸っぱい気持ちになります」「好きな人へのプレゼントにしたい」といったコメントが多く並びました。
その中で、「クリエティビティこそ、紙の新聞を救う方法だ」という意見に5800件を超える「いいね」が集まっています。
映画が好きを中心に200万のフォロワーを抱える「影視圏管家」というアカウントもコメントを出しました。
「光のなかで二人が『奇跡的な再会』を果たす。この創意工夫が本当に大好きです」
「手で触れる新聞紙は、流行っているウェブメディアの広告と比べると、暖かさと温もりを感じます……」
SNSでの反応をみると、「新聞」というメディアについても意見が交わされていました。
「紙媒体はやはり携帯に取って代わる運命だ」という意見がある一方、「日本の新聞社は世界でほかに類を見ない発行部数を誇っている」「クリエティビティと位置づけが新聞社にとってますます重要」の意見も多数ありました。
取材を通じて、私も「紙」ならではの効果が意外な所にあるところを再発見しました。
この広告が話題になったことを受けて、新海誠監督の新作「天気の子」への期待も、中国で高まっています。7月19日に日本上映、8月8日に香港上映、そして9月12日に台湾上映が決まっていますが、中国大陸の上映期間は未定だそうです。
「10月に中国大陸でも上映できるように」。ファンの間には、早く映画を見たいという声が上がっています。
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