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アイスぶつけられたヤンキーが「神対応」 優しい世界、漫画で表現
スーパーから笑顔で走り出る男の子。勢い余って、手にしたアイスクリームをこわもてのヤンキーにぶつけてしまい…。そんな筋書きの漫画が、ツイッター上で人気です。理由は、ヤンキーの「神対応」にありました。「優しい世界を表現したかった」と語る、作者の思いをお伝えします。(withnews編集部・神戸郁人)
「通りがかりにワンポイントアドバイスしていくタイプのヤンキー」。6月9日、そんな文言とともに、4ページの短編がツイッターで公開されました。
【創作】通りがかりにワンポイントアドバイスしていくタイプのヤンキー pic.twitter.com/1S1JfdGe8w
— おつじ (@otj024) 2018年6月9日
最初のコマには、電話をしながらスーパーから出てくる女性の姿。「夫とから揚げの味でもめた」と愚痴っているようです。その前を幼い息子が、アイスを片手に駆けていきます。
直後、運悪くヤンキーの青年に激突し、ズボンにアイスをべったりとつけてしまいます。母親の顔は真っ青です。
「ご…ごめんなさ…」。恐怖のあまり、消え入りそうな声で謝る息子。青年はその頭に手を伸ばし、意外な行動に出ます。
「ちゃんと謝れるの偉いね……大丈夫」
「犬の柄が入ってかっこ良くなった」
「白の無地でさびしかったから丁度いい」
そう語りかけながら、息子の頭をなでたのです。さらに、「肉をもみこむ時にわさびを足すといい」と、母親にから揚げの作り方をアドバイスし、去っていきます。
漫画は「本当にかっこいいやつってこういうのだ」「4ページじゃ足りない」などと評判に。6万7千回以上リツイートされ、「いいね」も20万件を超えました。
手がけたのは漫画家のおつじさん(@otj024)です。ファンタジー世界の料理が題材の「幻想グルメ」(スクウェア・エニックス)で作画を担当し、7月25日に3巻が発売されます。
「実際にありそうな状況を元に、サクッと読める物語を創作したいと思ったのがきっかけです」とおつじさん。町中の人混みで見た、元気に動き回る子どもを前に、申し訳なさそうにしている母親の姿などからヒントを得ています。
ヤンキー青年の設定は、見た目と性格のギャップを意識したそうです。守られるべき幼児という、対極の存在を向き合わせたとき、どんな化学反応が起こるか楽しみながら考えたといいます。
「子どもの振る舞いに、いらついてしまう大人は多いと思います。漫画では、ヤンキーがちゃんと『大丈夫だよ』と伝えてあげることによって、息子の中でハプニングが嫌な思い出にならなくなる。そういう優しい世界を描きたかったんです」
おつじさんがツイッターを始めたのは今年2月。「幻想グルメ」の宣伝を兼ね、恋愛ものやホラーなど、様々な漫画を投稿してきました。
今回の作品が特に広く支持されたことから、今月15日には、女子学生が主人公の続編も公開しています。
既に「いいね」が8万件を超えるなど、こちらも好評です。おつじさんは、予想以上の反響に驚きつつ、漫画への共感が広がっていることを喜んでいます。
「現実ってしんどいことが結構ある。だから身近なテーマで、ハッピーエンドのストーリーをつくるよう心がけました。読んで下さった方の心に、少しでも良いものを残せていればうれしいですね」
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