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座標間違えた!?商業施設前に「七重塔」 シュール過ぎる光景が話題
神奈川県にある大型商業施設の目の前に、仏塔の一種「七重塔」のレプリカが立っているのをご存じでしょうか。今月、ツイッターで風景写真が公開されて以降、あまりのミスマッチ具合に「設置する座標を間違えたのか」と話題が沸騰しています。シュール過ぎる光景が誕生したいきさつを取材しました。
今月13日、神奈川県海老名市のショッピングモール「ビナウォーク」前にそびえる七重塔の写真が、ツイッター上に投稿されました。
塔は屋根が七つあり、壁は朱を基調とした色に塗られています。最上部に「相輪(そうりん)」と呼ばれる仏教由来の装飾も施され、とても厳かな雰囲気です。
しかし、ビルが立ち並ぶ中で異彩を放っており、違和感は拭えません。まるで、建物だけが突然タイムスリップしてきたかのようです。
投稿には「(町を作るゲームで)建物を設置する時に座標を間違えたとしか思えない」「塔のおかげで治安が良くなってそう」などのコメントが寄せられ、「いいね」も4万件を超えています。
管理する市住宅公園課によると、塔はビナウォークの敷地ではなく、小田急線の海老名駅近くにある「海老名中央公園」に立っています。高さ約22メートルの鉄筋コンクリート製で、本物の仏塔ではありません。
モデルは8世紀半ば、国の安定を願い、現在の海老名市内に造られた「相模国分寺」の七重塔です。元々、公園から400メートルほど離れた場所にあり、今では基礎部分が残るのみとなっています。
再び見られるようになったのは、市政開始から20年目の1992年。当時、住民から「人目につく駅前に塔を復活させてほしい」との声が上がっていたことから、町のシンボルとして市観光協会(2014年に解散)などがレプリカを建てました。大きさは実物の3分の1ほどです。
その後、駅周辺の開発が進み、塔を囲む形で商業施設が次々と完成。02年にビナウォークができ、異色のコラボレーションが実現したのです。
「あって当たり前の景色で、疑問に思ったことはありませんでした」。広報を担当する、市シティプロモーション課の石川淳一主事は、そう笑います。
塔は地域のランドマーク的存在で、待ち合わせ場所にする住民が少なくありません。毎年夏に公園で開かれる盆踊り大会では、浴衣を着た踊り手たちとの組み合わせが写真映えし、人気だそうです。
「塔があることで、都会的な景観に歴史の深さが加わり、独特な町並みが保たれています。話題になり驚きですが、多くの方々に楽しんでもらえているのはうれしいです。いつか『七重塔といえば海老名市』と言われるようになると良いですね」
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