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怖くないよ!アシダカグモの本心知って 生態描いたイラストが面白い
家の中で見かけることがある大型のクモ「アシダカグモ」。非常に長い脚を持ち、あまりのこわもてぶりに、恐怖を覚える人は少なくないと言われています。しかし実はとても臆病であることなど、その生態をユーモアたっぷりに解説したイラストが、ツイッターで好評です。「共存するための知識を得る機会になれば」と喜ぶ作者に、描いた経緯を聞きました。
『アシダカグモの気持ち』と題されたイラストは、今月19日、ツイッターに公開されました。デフォルメされたアシダカグモたちが、あちこちに登場します。
左上のコマを見ると、こんな説明文が目に入ります。
文章の脇には、2匹のゴキブリの間でまごつくうち、一方に逃げられてしまうアシダカグモが描かれています。その姿は、何だか憎めません。
別のコマには、人間に触られそうになり、悲鳴を上げながら逃げている場面も。自分より大きな動物に近づかず、わずかな音や振動も気にする繊細な性格を、分かりやすく説明しています。
クモの生態に詳しい、国立科学博物館動物研究部(茨城県つくば市)の小野展嗣名誉研究員によると、アシダカグモの全長は大きいもので12センチほど。CDの直径と同じくらいです。
悪質な病原菌や毒は持っていないものの、そのサイズに嫌悪感を抱く人もいるとされています。
しかしイラストを見た人の多くは「あれ、可愛い…?」「ウチにも来てくれないかな」などとコメント。その数は300件を超え、4万5千件以上リツイートされました。
「一見グロテスクだけれど、生態を知るほど好きになりました」。作者のコネクトさん(@kn_0210_)は、そう笑います。
インコやカブトムシなど、さまざまな動物や虫を飼育してきたというコネクトさん。身近な生き物を描くのが趣味で、ダンゴムシの習性をイラスト化し、ツイッター上で注目を集めたこともあります。
子供の頃かなり観察してたダンゴムシなんですけど大人になって分かったこと pic.twitter.com/LZq4QTJgRE
— コネクト (@kn_0210_) 2018年5月18日
アシダカグモとの出合いは約10年前、家族と訪れた山中の別荘でした。部屋に群生しているのを見て、「この世のものとは思えない」と冷や汗をかいたそうです。
「実家で遭遇することもあったのですが、苦手意識からいつも駆除していました」
その後、絵にできそうな生物について調べるうち、アシダカグモの情報に触れました。がらりとイメージが変わり、今では親しみを込め「アシダカグモさん」と呼んでいます。
コネクトさんはイラストに続き、アシダカグモの短編漫画もツイッターで公開しました。狩りに出かけた父親と息子が人間と鉢合わせ、殺虫剤をかけられてしまうという内容です。
作品には、過去の自分への反省を込めたといいます。
「いくら見た目が恐ろしくても、命は命。イラストを見た人たちが『クモを少し好きになれた』と共感してくれたからこそ、描かなければと思ったんです」
相手を知ることが、異質な存在を受け入れる第一歩になる。読者にそう伝えたいと、コネクトさんは考えています。
「暑くなると、えさとなるゴキブリの動きが活発化するため、アシダカグモさんを目にすることが増えるかもしれません。そのときは『頑張って生きろよ!』と見守ってあげてほしいですね」
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