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福島の「空っぽ」どら焼き、全国から注文殺到 震災から7年目の偶然
福島市で売られている「餡のないどら焼き」。東日本大震災から7年という頃に突然注目を集め、全国から注文が殺到しています。
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福島市で売られている「餡のないどら焼き」。東日本大震災から7年という頃に突然注目を集め、全国から注文が殺到しています。
福島市のどら焼き専門店が販売している「餡のないどら焼き」。東日本大震災から7年を迎える直前に偶然話題となり、全国から注文が殺到しています。「震災がなかったら世に出ていなかったのに、不思議な縁ですよね」と話すどら焼き店の代表に話を聞きました。
今月9日にツイッター投稿された画像。そこに写っているのは、餡のないどら焼きです。
この投稿に対して、「これはパンケーキでは?」「(般若心経にある)色即是空か」といったコメントが寄せられ、リツイートは2万5千、いいねは5万を超えています。
作っているのは、福島市のどら焼き専門店「丹坊」です。
「商品名は空(そら)です。自分の好きなようにアレンジして食べて欲しいどら焼きです」と話すのは、丹坊の代表・村山由美子さん(39)です。
母体である丹治製菓(福島市)では、震災の数年前から福島産の桃や小麦を使ったケーキ・焼き菓子に力を入れ、順調に業績を伸ばしていました。
別工場を立ち上げてまもなくして震災が発生。それまで売りにしてきた福島産にこだわった商品が敬遠され始め、新たな業態として始めたのが、どら焼き専門店でした。
「今だからこそ、地元の人たちがおいしいと喜んでくれる生菓子を作ろうと、震災から約1年後に丹坊をオープンさせました」と村山さん。
どら焼き専門店をうたうからには、広い年代の人が食べたくなる商品をそろえようと、「落花生」「洋酒葡萄(ラムレーズン)」など常時10種類以上を展開。
自慢のふんわり、もっちりした生地をそれだけ味わってもらおうと、オープン当初から「空」もラインナップに加えています。
「実は私、小さいころにどら焼きの餡をはじいて食べてました。皮だけのどらやきがあったらいいのになあと思っていたんです」
他のどら焼き同様に、しょうゆ、はちみつ、日本酒を使った伝統的な製法で作っており、価格も2個(4枚)入って税込み135円とお買い得です。
「餡はなくても素材や製法はどら焼き。カステラ屋さんの端っこじゃないですけど、サービス品という位置づけです」と村山さん。
震災から7年を迎えようという頃、「餡のないどら焼き」という話題性から注文が殺到しました。
「空を10個とか、空を5個と他のどら焼きとか、いつもとは違う注文が入り始めたんです。なんで空ばっかりなんだろうと不思議に思っていました」
9日のツイッターがきっかけとなり、10日、11日、12日とオンラインショップ上で続々と注文が入っています。
震災がなかったら生まれなかったどら焼きが、震災7年のころ偶然話題に。今度は地元の人のためにと作ったら、全国から注目を集める事態に。
村山さんは「不思議な縁ですよね。福島のものだからという理由ではなく、若い人を中心に純粋に商品に興味を持って買っていただいている。そのことがうれしいんです」と話します。
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