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判断とは「正しい方を選ぶ」じゃない! アメフト経験から学んだこと
「判断するということは選んだ結果を受け入れることだ」。そんな内容のツイートが話題になっています。
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「判断するということは選んだ結果を受け入れることだ」。そんな内容のツイートが話題になっています。
【ネットの話題、ファクトチェック】
判断するということは「正しい方を選ぶこと」じゃない、「選んだ結果を受け入れること」だ――。そんな内容のツイートが話題になっています。大学時代、アメリカンフットボール部でケガをした時の経験をもとに投稿したというつぶやきについて、詳しく話を聞きました。
今月20日、こんな文章がツイッター投稿されました。
この投稿に対して、「本当に同感です」「胸がすっと楽になりました」といったコメントが寄せられ、リツイートは4万5千、いいねは11万を超えています。
若い頃は「判断する」ってことを、「正しい方を選ぶこと」だと思ってたけど、「判断するって事は、選んだ結果を受け入れること」と思うようになってから少しずつ人生うまくいくようになった気がする。
— カッピー18 (@kappy_18) 2018年1月20日
正直何が正しかったかなんて、相当先じゃないないと分かんないよ。
ツイート主は、神戸市在住のイラストレーターでデザイナーの「カッピー18」さん。イラストやキャラクター、漫画、ホームページなどの制作を手がけています。
今回のツイートは実体験に基づいたものなのか? 尋ねてみると「部活で負傷した時に、どう行動すれば良いか判断できなかったのがきっかけです」と教えてくれました。
アメフト部に所属していた大学時代。松葉杖をつきながらグラウンドに出て手伝いをしたところ、「座って早く治すことがチームとして正しいことだ」と言われました。
言葉通りに座っていたら、今度は他のチームメイトから「皆が練習しているのに座っていられたら士気に関わる。ケガしてても何か手伝えるだろう?」と言われたそうです。
「自分としては、いろんな人の意見を受け入れて、チームにとって正しい選択をとっているつもりなのに、『結局、何が正しいんだー!』と思い悩みました。そして最後は、一番よくない『◯◯さんが言ったんじゃないですか』という気持ちに押しつぶされていました」
この経験で気づいたことは、周りからどう思われるかを気にしすぎて「自分がどうしたいか」が抜け落ちていたということでした。
何を選択してもネガティブな結果がつきまとうケースが多いのだから、自分の信念に関わる判断をしたのであれば、周りに許してもらわなくても、どう思われてもいいのではないかと考えたそうです。
「学生時代の自分は、とにかく『正しい』『正しくない』に振り回されていたと思います。自分の判断の結果を受け入れることができれば、結果が悪い方向で終わっても、次の判断基準もしっかり持てるようになってくるし、失敗を糧に何を努力すべきかも明確に見えくると思いました」
イラストレーターとして独立したことについても、このときの経験が生きているそうです。
「私は子どもが3人いる状態で独立しました。周りからは『無謀だし、父親として正しくない』とのアドバイスをもらいました。それも一つの答えですが、私は今までたくさん判断してきた経験の中から、人脈も築けないまま小さな会社でパソコンに向かい続けることの方がリスクだと感じたんです」
今のところ仕事は順調で、「正しい」「正しくない」に振り回されていたら判断できなかったと振り返ります。
「独立してから数カ月後、全く仕事がない時期がありました。焦る気持ちもありましたが、独立するからにはそういったことも起こりうるだろうと、心の準備はできていたので、実績として公開できない仕事を全部断り、1カ月間集中して自分のホームページを作りました」
「年内にはホームページから大口の受注もあり、思ったよりも早く注文をいただけるようになりました。もし、仕事がないという結果を受け入れきれていなかったら、『ああ、やっぱり間違っていた』『こんなはずじゃなかった』という気持ちに押しつぶされて、次につながらない仕事ばかりかき集めていたかもしれません」
ツイッター上では「どっちが後悔しないかで選ぶ」というコメントも寄せられていましたが、カッピー18さんはこう言います。
「どっちも後悔しそうだと感じるシーンって、生きてるとたくさんあると思うんです。『後悔しない選択=正しい選択』と思ってる方って多いと思うんですが、後悔するかしないかなんて、選ぶ時点では分からないんですよね」
「だから、『後悔しないぞ、後悔しないぞ』と自分にプレッシャーを与えるより、『後悔してもいいんだ』と事実を受け止めて、何に後悔したのかを見つめることによって、次の判断がどんどん簡単になっていくんだと思います。どなたかが『正解を選ぶんじゃない、選んだものを正解にする』とおっしゃっていたのが、自分の感覚に近いと感じました」
ツイートが話題になったことについては、こう話します。
「こんなにリツイートされた経験は初めてだったので、素直に嬉しかったのと、思ったことを軽くつぶやいたつもりが、『名言』『金言』『ありがたい言葉』のような扱いになってきて、少し怖さも感じました」
「でも、私のツイートがきっかけで自分なりの気付きを得た方もいらっしゃったようで、そうだとしたらとても嬉しいことです。そして、いろんな受け取り方や感想がとても面白く、私自身も勉強になりました」
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