お金と仕事
中国のスタバ、現地の人の使い方「1杯1500円相当」社会的ステータス
スタバからコンビニの「お持ち帰り」まで、日本のコーヒーには様々なスタイルが生まれています。お隣の中国でも、消費量は年々上がっているようですが、まだまだ「お金持ちのステータス」のイメージが強いようです。
湖南省長沙市出身で、22歳の一素(イースー)さんは、大学卒業後、上海で仕事に就きましたが、留学のため2016年7月に来日しました。日本語学校を経て、来年4月に都内の国立大学の大学院に入学する予定です。
来日して日本語が話せるようになった一素さんは、表参道の付近のコーヒーショップで働き出しました。コンビ二やスーパーよりも「仕事の環境が清潔そうだったから」と話します。
働き出して驚いたのは「日本人は本当にコーヒーが好き」だということ。
「コーヒーが生活の一部になっています」
中国では、外資系企業が多い上海や北京、広州などの大都市では、日本のようなコーヒーショップが普及していますが、日本ほど身近な存在とは言えません。
日本と中国の違いは統計からも見えてきます。
世界コーヒー機関(ICO)が調べた2015年のコーヒー消費量で、日本は一人あたり1年で3.54キロのコーヒーを消費しています。一方、中国は0.83キロにとどまっています。
日本のコーヒーショップで働く一素さんは、日中の違いは値段にあると言います。
「中国ではコーヒーは高いので、飲む人が限られています。コーヒーは、生活の一部というより、社会的ステータスの要素が強いのではないでしょうか」
実際、値段には違いはあります。
日本では100円でもコンビ二で本格的なコーヒーを売っていますが、中国では、そこまで安いお店はありません。
同じスターバックスのコーヒーを比較すると、日本では最安値は280円のショートですが、中国では最安値は17元(約300円)。
「17元のものは、全然、しょぼいので、お店では飲めるサイズではありません。普通の1杯のコーヒーは30元(約500円)ぐらいのサイズじゃないと飲んだ気がしません」と一素さん。
物価の違いもあります。中国の平均収入は、日本の3分の1以下です。単純に計算するだけで、コーヒー1杯が1500円になってしまいます。
一素さんは「中国の年配者には、お茶の方がまだまだ、なじみがある飲み物です。若者もタピオカティーの方が人気です」と話します。
喫茶店の使い方も違いがあるようです。
日本では友人とおしゃべりをしたり、読書や勉強、仕事をするなど、生活の一部になっています。一方、中国の喫茶店について、一素さんは「ビジネスマンや、収入の高い層の人たちが社会的ステータスのために、高くても、『スタバ』などのブランドのコーヒーを時々飲むようです」と話します。
「チェーン店以外にもいくつかの個人コーヒーショップがありますが、値段は、チェーン店とほとんど変わりません。自由な生活への憧れや、ロマンチックなライフスタイルを追求したいなど、店主の思いが強いお店が多く、正直、商売としてあまり成り立っていない気がします」
もちろん例外があります。一素さんの知り合いにもコーヒーのヘビーユーザーがいるそうです。
「上海の友人ですが、現在はウェブの仕事をしているため、よくパソコンを抱えてコーヒーショップでデザインや執筆の作業をしています」
中には、コーヒーを趣味にしている人もいるそうです。
「道具を一式そろえ、世界中からコーヒー豆を購入し、その味を飲み比べています。まだ少数派かもしれませんが、こういうコーヒーファンも中国で増えていると思います」
大学院の試験のためバイト辞めた一素さんですが、今では、コーヒーが生活の一部になっているそうです。
「大学院に入ったら、コーヒーショップのような、語学力も養えるバイトを探そうと思っています」
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