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選挙に期待しない23歳が「票育」をする理由 「投票は最終手段」
衆院選の投開票日が近づいてきました。「あなたの一票が社会をつくっています」なんて言われるけど、選挙って正直、意味ある? 投票したらなにか変わる? そう聞かれて、胸を張って答えられる人ってなかなかいないのではないでしょうか。中高生に模擬投票の出前授業「票育」を行っているNPO法人「僕らの一歩が日本を変える。」(ぼくいち)の代表理事・後藤寛勝さん(23)に聞いてみました。
後藤さん
後藤さん
その空気は、わかります。学校でもSNSでも職場でも、政治の話題とか引かれるかも、というか、熱く語ったら引かれますよね実際。
後藤さん
だから、選挙に行かないというのも、やっぱり基本的には「ダサい」と思う、とのこと。
とはいえ、選挙になるといきなり出てくるよくわからない人たちの中からだれかを選んで投票するって、難しくないですか。
後藤さん
思い当たる節が・・・。どの政党が自分に近いのか、とか、保守/リベラルなどの座標軸でどこに自分が位置しているか、とか、診断できるツールがネット上でもよく流れてますよね。
後藤さん
なるほど。たしかに、政治家って私たちの「代表」なわけですから、私たちがそれぞれ思っていることを代わりにやってもらわなきゃいけないですよね。そういえば。
いつの間にか、政治家が並べた考えの中から、自分の考えを選び取る感覚になっていたかもしれません。
でも、最初に後藤さんは「選挙に期待していない、変わらない」と言ってました。では、投票する以外に社会を変える方法はあるんでしょうか。
後藤さん
働く???
後藤さん
その典型的な例が、ラッパーのZeebra(ジブラ)さんだと言います。
後藤さん自身は、いったい何をしているんでしょう。
後藤さん
政治好きがコンプレックスという後藤さんは、政治と私たちの距離がもっと近い社会になるように、活動しているんですね。
票育では、学校や地域ごとにオーダーメイドした模擬投票をします。最大の目的は、投票先を選ぶ過程で自分たちの町の課題を見つけて、解決の道を探ってみる経験をすること。
たとえば・・・
2015年に葛飾区の商業高校の定時制の生徒と行った票育。投票の争点は、「生徒の多くが使う通学路になにが必要か/必要でないか」です。電柱、ガードレール、公民館、プール、図書館……。候補者によって、どれを残し、どれをなくすかが変わります。
ある生徒が「僕はプールはいらない」と主張すると、別の生徒は「私、そのプールでインストラクターとして働いてるから困る。図書館のほうがいらない」。するとまた別の生徒が「いやいや、図書館使ってるよ」と訴える、というやりとりがあったそうです。
後藤さん
投票率を上げることは目的ではないんですね。
後藤さん
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