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ロリータ好き過ぎて留学決意、中国人女子が見た現実「聖地なのに…」
日本のカルチャーとして世界でも有名なのがロリータファッションです。ロリータファッションをこよなく愛し、中国から日本に来たロリータ女子がいます。「日本の大学院でサブカルチャーを学んで、ロリータファッションを中国に広めたい」と語る彼女。その一方で「日本はロリータの世代交代に失敗した」との指摘も。中国人女子が日本で目にしたロリータの現実とは?
話を聞いたのは、安徽省出身で、上海の出版社で仕事をしていた24歳のロリータ女子、翼ちゃん(翼兒)です。現在は日本の大学院進学をめざし日本語学校に通っています。
ロリータ女子の間では、自分のことを「lo娘」と呼び、またロリータファッション以外の人は「地球人」と呼んでいるそうです。
ロリータファッションにも、色々なジャンルがあります。例えばピンクがメインの「甘ロリ」(Sweet Lolita)と、黒がメインのゴシック系の「ゴスロリ」(Gothic and Lolita)と、赤と茶色が特徴のクラシカル系ロリータ (Classical Lolita)など。
翼ちゃんは主に「甘ロリ」ですが、ビジュアル系のバンドも好きなため、時々ゴスロリも着るそうです。
翼ちゃんは、大学時代に日本の映画や漫画などからロリータの存在を知りました。その後、上海にあった日系の大手百貨店で、実際のロリータ服を見て、ファンになったそうです。
「はじめてこんな服を見ました。まるで童話の世界にいたよう感じで、強く憧れました」と振り返ります。
大学時代に一度、日本に旅行にきて、本物のロリータファッションの女の子を見て「可愛い!」と感動。就職して最初にもらった給料は、全部ロリータファッションのために使ったそうです。
「私が知っているlo娘の多くは深田恭子が主演した映画『下妻物語』の影響を受けています。私も、もちろんこの映画を知っていますが、やはり実際見た服と可愛い女子の衝撃が大きかったです」
一方、翼ちゃんが日本に来て驚いたこともあります。
「日本ではロリータファッションを着る人は予想より少ないです。さびしいですね」
「聖地」の原宿でも目にすることが少なく、いたとしても外国人が多いそうです。
翼ちゃんは、日本でロリータファッションが減った理由を「世代交代の失敗」だと見ています。
「最初のlo娘世代は結婚し、家庭を築き、また就職したりして、ロリータファッションを続けられなくなりました。一方、若い世代はロリータファッションに使えるお金と時間が昔より限られています」
翼ちゃんも大学卒業後に雑誌社で3年間働いた貯金で、20着以上の服を購入しました。しかし、来日して半年たっていますが、服はまだ1着も買っていないそうです。
「ロリータファッションに必要な服、ヘアアクセサリー・靴など、フルセットでそろえると20万円くらいかかることがあります。こういう出費は、学生や、時給900円から1000円ぐらいのバイトをしているフリーターにとっては、たいへんなものでしょう」
そこまで翼ちゃんの心をとらえたロリータファッションの魅力とは何なのか? 翼ちゃんは「自分になれることです」と言います。
「これまでの女性のファッションには、男性の目線を意識したものがありました。また、流行もあります。でも、ロリータファッションは、そういった影響を受けずに、自分の好きなスタイルを貫くことができるのです」
中国でも人気が出つつあるというロリータファッションですが、まだまだ苦労は多いようです。
「今、中国の上海、杭州、武漢などの大都市ではロリータファッションがはやっていて。lo娘が多くいます。でも、自分がロリータ服を着て上海の町を歩いていると、コスプレと間違われたり、変な目で見られたり、さらには盗撮をされたりすることもあります」
日本に来て良かったのは、気兼ねなくロリータファッションを満喫できるところだそうです。
「日本はロリータファッションにいい意味での無関心なので、居心地がいいですね」
「ロリータファッションは、夢を与えてくれる服です」と目を輝かせて語る翼ちゃん。その魅力は、服のサイズにも現れているそうです。
「ロリータ服の多くは、ワンサイズです。伸縮性のあるゴムシャーリングやリボンで調整することで、年齢、身長、体形にかかわらず『可愛くなりたい』と思うすべての女性が着られるのです」
翼ちゃんは「サブカルチャー」の研究をするため、日本の大学院を目指して勉強をしています。将来の夢は、中国に戻り、ロリータ文化をより多くの人に伝えることです。
「ロリータファッションは、もう私の体の一部で、命の一部ですね。できれば一生ロリータ服を着たいです。何歳でも。永遠に」
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