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官房長官の仕事って? 「実力者中の実力者」と言われる理由…
内閣改造でも変わることがなかった内閣官房長官の菅義偉さん。記者会見でたびたび登場しますが、いったいどんな役割があるのでしょう? 巨額の官房機密費が使える「実力者中の実力者」。そして官房長官が持つ「三つの顔」とは? 知っていそうで知らない官房長官について超解説します。(朝日新聞政治部デスク・林尚行)
安倍政権で、首相をずっと、一番近くで支え続けているのが、内閣官房長官の菅義偉さんです。
菅官房長官の記者会見の様子は、多くの人が見たことがあるのではないでしょうか。その場での発言は、そのまま政府の公式な言葉として伝えられます。
学校法人「加計学園」めぐる問題では、文部科学省内で作成された文書について、「怪文書」と言ったことが問題視され、政権に逆風が吹く一つの原因になりました。
菅官房長官は、他にも独特の言い回しを使って、記者たちの追及をかわそうとします。
例えば「そのような指摘はあたらない」。また「全く問題ない」。これらの言葉は「菅官房長官語」として、ネット上で話題となりました。
安倍政権の支持率が低迷する中、これまで通りの「菅官房長官語」で通用するのか、正念場を迎えていると言えるでしょう。
内閣官房長官には、大きく分けて三つの顔があります。
一つめは、首相の側近中の側近という顔。官房長官は、3人の官房副長官の助けを受けて、首相の目指す政策がスムーズに推進できるように、あらゆる環境作りを担います。
二つめは、霞が関のお目付け役という顔。官房長官の仕事は、財政政策や社会保障、農政、外交、安全保障など、かぎりなく広い分野に及びます。その上、各省庁の官僚たちの人事権や官房機密費という財布も握っているため「実力者中の実力者」と言えます。
三つめは、政権のスポークスマンという顔。平日は午前と午後の1回ずつ、首相官邸で毎日記者会見を開きます。世の中で起きているあらゆることについて、政府としての見解を問われます。
8月にあった内閣改造では、首相と距離を置いてきた野田聖子・元総務会長を総務相に据えるなど、新しさを打ち出しました。
その一方で、2012年末の第2次政権発足時から首相を支える菅官房長官は、当初から続投すると言われ、実際、その通りになりました。
「政権の要」「ナンバー2」などと言われるそんな官房長官。首相を最も近くで支える官邸スタッフの司令塔という、政権にとって重要な役回りを担っているのです。