お金と仕事
ドラッグストアの中国人、意外なこだわり「この薬、第2類?第3類?」
銀座など東京の繁華街のドラッグストアに行くと、中国人観光客の買い物客をよく見かけます。商品説明などの応対をしているのも、同じ中国人です。日本だけど日本じゃないような、不思議な光景。働いている中国人店員はどんな思いなのでしょうか? 爆買いの訪日客が見せた「謎のこだわり」とは? ドラッグストアから見た日本について聞いてみました。
話を聞いたのは、銀座のドラッグストアで2017年3月までアルバイトをしていた斉さん(河北省出身で1992年生まれ)と、同じく銀座のお店で今も働いている張さん(黒竜江省出身で1993年生まれ)です。
二人とも留学ビザで来日しました。斉さんは1年くらい、張さんは、2年以上働いています。
ドラッグストアを選んだ理由は「時給が1100円で比較的高かったこと、飲食店より清潔で、仕事内容も大変ではないところ」だそうです。
二人が働いたドラッグストアのお客さんの大半は、中国人観光客です。日本人のお客さんは近くのオフィスの会社員が多く、数百円や数千円程度の商品しか買いません。売り上げに貢献しているのも、圧倒的に中国人観光客です。
二人のお店は免税ストアだったため、5千円以上買うと、免税されます。そのため、ほとんどの中国人観光客は、5千円以上の商品を買うそうです。
中には、10万円20万円の商品を買う人もいて、携帯の写真を見せながら、ほしい商品リストを持って大量購入するそうです。
斉さんにとって、最も印象的だったのは、酵素商品を爆買いするお客さんです。
「一箱2万円以上の酵素商品なんですが、40箱入りの段ボール一個を丸ごと買っていくんです。最初は、びっくりしましたね」
ただ、2年以上働いている張さんは客足の変化を感じているそうです。
「実感として、去年よりも今年は客足が厳しくなっています。店長は、これまで毎年、8千組のツアー客がいたのが、今年は3千組に落ち込んでいると言っています。客層の年齢も変わってきていて、以前は30代から40代だったのが、今は、60代から70代の世代になっています」
中国の若い世代は一通り日本を観光したため、最近はタイなどのASEAN諸国が人気の観光先になっているそうです。高齢者のツアー客が増えたことで、客層が高齢化しています。それによって店には売り上げに影響が出て、バイトの人数も減ったそうです。
ドラッグストアで働いていると中国人観光客から、自分たちの知らない中国人の一面を見せられる「逆カルチャーショック」のような場面に出くわすことがあるそうです。
「中国人観光客、特に、おばちゃんたちが気軽にプライバシーに突っ込んでくるんです。初対面にもかかわらず、いきなり『あなた何歳? 結婚しているの? 収入はどのぐらい?』などと聞いてきます」(斉さん)
そんな、おばちゃんの質問には「ぜんぜん答えられません」と二人は笑います。
中国人のおばちゃんのマナーも気になるそうです。
「みんな列を作っていて待っている時に、列の先頭にいる仲間にカゴを差し出して『一緒に精算してね』って言うんです。後ろでお客さんに申し訳ないなと感じます」(斉さん・張さん)
もう一つ、驚いたのが、化粧品と医薬品の使用方法へのこだわりです。
子どもが使える年齢や、第2類医薬品から第3類医薬品の違いから、特に気になるのが使用期限だそうです。
「日本の化粧品には、使用期限の表示がないものもあるので、不安になるみたいです」(張さん)
今、働いているお店の店長は「いい人」という張さん。斉さんも、自分のお店では割引価格で商品を買うことができて「とても働きやすい店でした」と言います。
張さんは「ドラッグストアのアルバイトは、刺激が少ないと思っていましたが、色々な発見がありますよ」と話していました。
1/7枚