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ハイチュウ、海外で人気沸騰 日本にない驚きの人気フレーバーとは?
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森永製菓のソフトキャンディー「ハイチュウ」。50年たっても人気に衰えが見えない超ロングセラー商品ですが、近年、海外でも人気が沸騰しているといいます。特にアメリカでよく売れていて、アメリカでの売上高が日本の売上高を上回っています。国境を越えて愛される理由はどこにあるのでしょうか。
森永製菓は9月、アメリカで大人気のフレーバーの逆輸入をコンセプトとした新商品「ファンタジーミックス」を発売しました。アメリカで人気のフレーバーを詰め合わせた商品です。
アメリカではどんなフレーバーが人気なのでしょうか。
一つは、「ブルーラズベリー味」。実際には存在しない架空のフルーツ「ブルーラズベリー」の味わいで、アメリカでは定番のフレーバーなのだそうです。
「カラフルシャーベット」「ブルーハワイ」と日本ではあまりなじみのないフレーバーが並びます。
海外で人気のフレーバーとして、過去には「レインボーシャーベット味」「キャンディアップル味」、「ストロベリーアイスクリーム味」、「キーライムパイ味」も発売されました。
「キーライムパイ味」は、キーライムという果物を使ったパイの味。酸味とクリーミーな甘さが楽しめるアメリカの伝統的なパイの味わいを表現しているそうです。
ちなみに、日本では今年、50周年を記念したハイチュウ総選挙が行われ、グレープが圧倒的1位でした。2位はグリーンアップル、3位はヨーグルトでした。
森永製菓は2024年、海外での人気の高まりを受けて、更なるグローバル展開のためにブランドロゴをカタカナの「ハイチュウ」から英語表記の「HI-CHEW」へリニューアルしています。
海外での人気について、菓子マーケティング部の堤崇将さんに聞きました。
森永製菓がハイチュウのアメリカ進出に本腰を入れたのは2008年です。
その前から、在米日本人向けに日本市場向けの「ハイチュウ」が輸出されていました。ハワイでの販売が好調で、理由を調べると日本人観光客やアジア系の人だけでなく、現地の人も購入していることが分かったことがきっかけになりました。
アメリカ西海岸にある日系人向けのスーパーでも、ハイチュウは森永製菓の他のお菓子に比べてよく売れていたそうです。
アメリカでの販売を広げようと現地法人を設立し、「HI-CHEW」のブランド名でアメリカ西海岸での販売を強化しました。
当初は販路が日系スーパーなどに限られ、アジア系以外の人への認知が広がらず苦しみました。
しかし、2014年ごろ、全国規模のスーパーのキャンディーコーナーに置いてもらえることになり、認知度が大きく向上しました。
たまたま同時期に、メジャーリーグの日本人選手がチームにハイチュウを差し入れしたところ、メジャーリーガーの間でハイチュウが愛好されるようになったという話題が報じられ、人気が加速するという追い風もありました。
また、2023年には、世界陸上選手権でやり投げの北口榛花選手が優勝したとき、チェコ人のコーチが試合中にハイチュウを食べていたことが話題になりました。これをきっかけに同社は北口選手と菓子の提供を中心とするサポート契約を結びました。
サポート契約を結んだときのインタビューで、北口選手はハイチュウの持つ魅力を語っています。
「実は世界選手権の前からハイチュウを(練習拠点の)チェコに持っていっていました。海外ではハイチュウのような優しい味のソフトキャンディはなく、かめることもあり、コーチがストレス解消になると言っていたので、日本から海外へ行く際はハイチュウを持っていっています」
堤さんは、ハイチュウのかむほどにジューシーな味わいが口いっぱいに広がる唯一無二の味わいと食感が海外でもたくさんの人に受け入れられている理由ではないかと考えています。
ハイチュウの生地は繊細です。原料が砂糖のため、ちょっとした加減ですぐ生地がべたべたしてくっついてしまいます。
砂糖やゼラチンなど原料の配合バランス、水分の含ませ具合、練り上げ時間や温度、空気の含ませ方など綿密に調整する必要があり、長年のノウハウの蓄積がある森永製菓だからこそ実現できるかみ心地で、他社はまねすることが難しいそうです。
2024年度の米国事業の売上高は約200億円まで伸びました。現在では日本の売上高を上回っています。
アメリカでの成功を経て、現在は欧州市場に挑戦しています。海外市場では現地の事情を考慮して砂糖の使用量を通常より減らした健康を意識した商品や個包装をなくした環境配慮 型の商品も開発し、販路は世界30カ国以上に広がっています。
今年7月~10月にかけて、インバウンド需要に対応して成田空港第3ターミナルに期間限定の「ハイチュウショップ」を開業。多くの外国人が訪れたほか、海外へのお土産にハイチュウを買っていく日本人もいたそうです。
堤さんは、ハイチュウをさらに世界に広げていきたいと考えています。「ハイチュウは、日本のお客様にとっては昔なじみの友だちのような存在になれていると思います。アメリカをはじめ、世界のみなさんにとってもそんな関係になれたらと思っています。そのためにこれからも進化を続けていきます」
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