日清食品ホールディングスが発売した「謎肉キューブ(なぞにっくきゅーぶ)」。カップヌードルの具材「謎肉」が絵柄のルービックキューブという、難易度ウルトラCの逸品です。なに狙い? そもそもクリアできる人がいるの? 色々な謎を解いてもらうため、ルービックキューブ早解き元世界チャンピオンに挑戦してもらうことに。最高記録「7秒」を誇る達人が「これは……」と言葉に詰まる事態。果たしてその結果は?
【PR】手話ってすごい!小学生のころの原体験から大学生で手話通訳士に合格
「謎肉」とは 、味付けした豚肉と野菜などを混合してフリーズドライ加工した豚肉主体の具材です。正式名称は「ダイスミンチ」ですが、食べただけでは作り方などの詳細がわからないため、ネット上やファンの間で「謎肉」と呼ばれるようになったといわれています。
その「謎肉」が各ブロックにあしらわれたルービックキューブ……その名も「謎肉キューブ(なぞにっくきゅーぶ)」。ブロックごとに微妙に謎肉の表情が異なるので、一見しただけでは、揃っているのか揃っていないのかもわかりません。
実際、初めて会社の先輩に手渡されたとき、「既に揃ってるじゃないっすか」と笑っていた私。よく見ると先輩がめちゃめちゃに崩してしまっていてどうしようもない状態だと気付いたときには思わず真顔になりました。
明らかに負け戦だとはわかっているのですが、無装備の一般人が挑戦したら一体どうなってしまうのでしょうか?
クラスに一人はいるタイプの一般人、丹治翔記者(32)に挑戦してもらいました。
「無理でしょ~」と言いながら、最初は笑顔だった丹治記者。徐々に表情が曇っていきます。
数分も経たないうちに戦意が完璧に消失しました。それはまさしくネフェルピトーを前にしたノヴ(※)のごとし……。
※漫画「HUNTER×HUNTER」のキメラアント討伐編に登場するハンター。強敵のオーラに屈し、あまりの恐怖に戦えなくなってしまう。筆者(野口)的にはめちゃくちゃ強いと思っている。
「謎肉キューブ」を販売する日清食品ホールディングスの担当者に、発案のきっかけを聞きました。
日清食品にしかできないユニークなグッズを考えていた中で、謎肉を使う構想はあったそうです。
「謎肉キューブ」を購入すると必ず1枚ついてくる特製「謎肉シール」(全6種類)。シールの絵柄に「風」や「土」といった属性が記載されていますが、特にゲーム性はないとのこと。 出典:謎肉キューブ | 日清食品グループ オンラインストア
そう言われると試したくなる……ということで、2007年のルービックキューブ早解きの元世界チャンピオンであり、元世界記録保持者でもある中島悠さん(26)をお呼びしました。
現在は、立体回転パズルの販売を行う株式会社トライボックスの代表取締役社長をされています。もう、人生をルービックキューブに捧げたルービックキューブの戦士と言っても過言ではないでしょう。
イベントでキューブを解く中島さん=2015年、中島悠さん提供
世界大会優勝当時、朝日新聞でも取り上げられていた 出典: 朝日新聞(2007年10月21日朝刊)
疑っている訳ではありませんが、元世界チャンピオンの実力とはどれくらいのものなのでしょうか?
通常のパズルを使って、実演してもらいました。
【動画】通常のパズルに挑戦する中島悠さん(戸田拓撮影)
瞬く間に絵柄が揃っていき、たたき出したタイムは「13秒598」。近年は大会などには出場していないという中島さんですが、まだまだその力は衰えていないようです。
涼しい顔でそう答える中島さん、これが……チャンピオンの風格……。
満を持して元世界チャンピオンが「謎肉キューブ」と対面です。
元世界チャンピオンも弱気にさせる「謎肉キューブ」の威力、恐るべし。
元世界チャンピオンがお越しいただいているので、せっかくなので勝負を挑むことにしました。
と言ってもルービックキューブでは勝てるビジョンが全く持てないので、謎肉つながりでカップヌードルの早食いで挑みます。
挑むのは一般人代表の丹治記者。記者の仕事柄か、シンプルに食いしん坊なのか、食べ物に関しては得意のようです。一緒にご飯を食べていても、私がふと顔を上げると丹治さんの皿はいつも空です。
今回は「カップヌードル」と「カップヌードル ビッグ」を「作って」、「食べる」までの時間と、「謎肉キューブ」のクリア時間で勝負します。
絵柄をすべて揃えるのにどれくらいの時間がかかるか、正直全く想像がつきませんでしたので、中島さんの「10分くらい」という自己申告をもとに、カップヌードルの数とルールを設定しました。
ルール
・謎肉キューブは第三者が任意の方法で崩す
・通常のルービックキューブのルール同様、開始前に15秒間キューブを見て考える時間(インスペクションタイム)が与えられる
・1つ目のカップヌードルを食べ終えるまで、2つ目のカップヌードルにはお湯を注いではならない
何せリハーサルなしの一発勝負なので、中島さんが全く手が出せなくて全然終わらない、とか、丹治記者が嚙まずに飲み込むタイプのエグいフードファイターだった、ということがあれば、この企画自体おじゃんになる可能性が高いです…。
冷静な顔で撮影の準備をしていましたが、内心(……頼む……いい感じに接戦になってくれ……)と願うばかりです。
それぞれの思いが交錯するなか、勝負するお二人に意気込みを聞いてみました。
全く別次元の勝負をしているにもかかわらず、丹治記者がややドヤッているのが若干気になりますが、ついに異色の勝負の幕が上がります。
まずは15秒間キューブを見ることできるインスペクションタイムです。
柄の違いがわかりにくいため、「15秒もらってもあまり変わらないと思う」と言っていた中島さんは真剣な表情。なぜか丹治記者もカップヌードルのパッケージを食い入るように見つめています。
【動画】「謎肉キューブ」に挑戦する中島悠さん(戸田拓撮影)
まずは丹治記者の先制、お湯を注ぎます。ここは慣れた手つきで、普段の練習が実を結んでいるようですね。
一方、元世界チャンピオンの中島さん、最初に数回キューブを動かして以降、完全に手が止まっています。じっと謎肉キューブの絵柄を観察しています。
3分半が経過、丹治記者が「熱い、熱い」とはふはふしながらカップヌードルを食べ始めます。
おいしそうな匂いがたちこめ、お昼ご飯を食べていない中島さんのライフを削っていきます。中島さんの手は時々動くものの、やはりじっと眺めている時間が長いです
カップヌードルをすする音と、謎肉キューブを回すカチャカチャとした音が時折響き、室内は謎の緊張感に包まれていました。
4分半近く経過した頃、突然、中島さんの口が開きます。
そこから中島さんの表情が少し和らいだかと思うと、キューブを回す動きが明らかに加速しています。
焦る丹治記者。1杯目のカップヌードルを完食し、2杯目のカップヌードルにとりかかりますが、無情にも中島さんの手は止まりません。
8分を過ぎた頃には、1つのブロックの向きを揃えるだけの状態に……。
とつぶやく中島さんの表情は、もうすぐクリアできて嬉しそうでもあり、楽しいキューブの時間が終わってしまい悲しそうでもあり……。
と思っていたところ、その後20秒ほどで見事クリア!
結局丹治記者は2杯目にお湯を注ぎ、あと1分ちょっとで食べられるところでした。
かかった時間は8分49秒217。予想していた10分を切りました。
8分49秒217というタイムで「謎肉キューブ」をクリア。初めて、絵柄が揃った謎肉キューブの実物を見ることができました。
中島さんは「光沢がある面とない面の違いに気付くとやりやすくなる」といいます。これから挑戦する人はぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
一応、日清食品ホールディングスの担当者の方にも報告したところ、
ルービックキューブの元世界チャンピオンでもガチになる、超絶難易度の謎肉キューブ。次に挑戦するのは、あなたかもしれません……。
ご協力いただいた中島さん、本当にありがとうございました!