さまざまな進化を遂げる自動販売機。ジュースはもちろん、おでん、うどん、だしに続き、今度は「クレープ」が話題です。「鹿児島にはクレープの自販機がある」というTwitterの投稿に、「鹿児島いいなー!」「東京にも5000兆台ほしい」という声もあり、聞けば宮崎県にも……。鹿児島市在住の記者が実際に食べてみました。(朝日新聞鹿児島総局記者・島崎周、デジタル編集部・野口みな子)
鹿児島市の代表的な商店街、天文館。空港行きのバス停前に、アイスや飲み物の自販機の隣にしれっとあったのが、クレープ自販機。
飲み物の自販機のように「つめた~い」の表示の上に、クレープに見立てた黄色い紙が入った瓶が、ずらっと並んでいます。
値段は200~250円。「チョコレート入り生キャラメル」「チョコ生クリームケーキ入り」「ストロベリー入りレアチーズ」など7種類。
記者も自販機の存在は知っていましたが、買ったことはなかったので、この機会に食べてみることに。
少しぜいたくして、一番高い250円の「マスカルポーネチーズ」と、一日5個限定と書かれた「カスタードバナナ」を選びました。
自販機のクレープとは、一体どんなものなのでしょうか。
ボタンを押すと、「ゴトン」というにぶい音。普通のジュースと同じように取り出し口から出してみると、びっくり!
クレープがつぶれないための工夫か、瓶に入って出てきました。自販機の横には、瓶を入れるケースまでちゃんと用意されています。
長方形のクレープが入っていて、手のひらにおさまるほどのかわいいサイズ。
食べてみると、確かに冷えてる!少しかためでアイスのような食感ですが、しっとりした生地はまさにクレープ。
カスタードバナナにはクリームがたっぷり、バナナもぎゅっとつめこんであって、小腹を満たすのにはもってこいかも。
マスカルポーネのクレープも、チーズの風味が豊かでいい感じ。普通のクレープとはまたひと味違う、ひんやりして味が凝縮されたクレープでした。
この日、出張からの帰りで空港バスから降りてきた、鹿児島市の会社員柳川あすみさん(23)は、「チョコ生クリーム」のクレープを買いました。
自販機の存在は知っていたけれど、食べたことはなかったそうです。「クリームがたくさん入っていて甘くておいしい」。
食べた後に気がついたのですが、自販機の横には持ち帰り用と思われる、ポリ袋も用意されていました。持ち帰りもできるので、帰りに寄って買うのもいいかもしれません。
この自販機でクレープを販売しているマロンマロン(鹿児島県姶良市)によると、「クレープ自販機」は天文館近くのほか、県内に4台設置しているそう。
「24時間いつでもクレープを食べていただけるように」というアイディアで、販売を始めたのは2009年から。店舗での販売はしておらず、自販機での販売を専門としているといいます。
クレープは全て手作り、日持ちも5日だそうで、鹿児島県以外に展開する予定はないとのこと。多いときは1日に300個作るときもあるといいます。
鹿児島のクレープ自販機が話題になっていると、「宮崎にもある」との情報が。
販売しているのは、宮崎県えびの市のSWEET'S KISS -VENDOR-。同社の迫田ゆかりさんによると「いろんな人に気軽に食べてもらいたい」と2008年より自販機での販売を開始したといいます。
宮崎市に4台、小林市に1台の計5台の自販機で販売しているそうです。
現在味は7種類で、季節限定のメニューもありますが、すべて200円。よく売れるのは「気候がいい春と秋」だそう。
クレープの賞味期限は4日で、これに合わせて入れ替えに回るそう。「普通の自販機は『補充』ですけど、クレープは『入れ替え』もありますね」と話します。
時々お客さんから「欲しい種類のクレープが売り切れている」と問い合わせが来ることもあるとのことです。
南九州のクレープ自販機、お近くに立ち寄ったときは探してみては?