IT・科学
「MERY」復活、盗用被害者が納得できない理由「旧サイト残して」
DeNAが8月3日、小学館と共同で新会社「MERY」をつくると発表しました。DeNAの女性向けメディア「MERY」は、公開していた記事で画像盗用などが明らかになり、全記事を非公開化。現在、盗用を受けた人へ「迷惑料」の支払い交渉を続けています。その最中での新会社設立に、盗用被害者からは「納得できない」という声が出ています。理由を、聞きました。
DeNAと小学館がつくる会社の名前は「MERY」。これは、盗用問題で公開停止中のDeNAの女性向けメディアと同じ名前です。
新会社は年内に、内容を刷新した新たな「MERY」を立ち上げる予定。公開停止中の旧MERYの記事は引き継がず、盗用増加の一因ともなった、利用者による記事投稿も受け付けません。
その一方で「元々のサイトのターゲット層や、取り上げる情報の方向性は踏襲する」(DeNA広報)といい、小学館の記事作成ノウハウを生かして、引き続き10~30代の女性向けファッションサイトとする方針だといいます。
小学館の担当者も「MERYそのものは、若い女性に評価された魅力的なメディア。休止するに至った問題を解決することで、皆さんに支持いただけるサイトになると考えている」と話します。
ただ、旧MERYを巡っては、画像などの盗用被害を受けた人への金銭支払いが続いています。
DeNAは、ブログなどからの画像盗用1カ所につき、1000円の迷惑料支払いを提示。被害者からは「これが許されたら結局、取材するより無断転載した方が安価に記事をつくれてしまう」などと反発が出ています。
DeNAは迷惑料の支払い交渉は、引き続き旧MERYの運営会社で傘下企業のペロリが対応するとしています。そのため、今回の新会社発表は「迷惑料について一段落したからという意味合いではない」としています。
今回の新「MERY」設立、被害者はどのように受け止めているのでしょうか?
MERYなどDeNA運営サイトに、ブログの画像7点を無断転載された20代女性は「補償について決着がついておらず、正直あきれています」と話します。
女性は、一方的に1カ所1000円と決められた迷惑料の見直しを求め、7月下旬に弁護士を通じてDeNAに内容証明を送ったところです。記載した回答期限が迫っていますが、DeNAからは返事が来ていません。
女性は「無断転載をした被害者の方全員にきちんと支払いを完了した上で、新MERYを設立してもらいたかったです。まだ(多数の無断転載を指摘した)第三者委員会の調査報告から半年も経っていません」といいます。
また旧MERYのトレンドを取り入れる速さや、若い女性を魅了するセンスの良さは「全部、様々なサイトから寄せ集めた無断転載だったから出来た事なのではないか。新MERYで同じ人気は出ないのでは」と感じると言います。
DeNAの運営サイトに写真を無断転載された30代男性は、「実績ある出版社が関わることで、著作権などのトラブルが大幅に減ることを期待したい」と話します。
一方で、新MERY開設により、旧MERYが「無かったこと」になるのではと懸念します。
新会社の発表を受け、旧MERYには「新たなMERYの誕生を目指す」と告知が掲載されました。盗用被害などの問い合わせ窓口のURLは、そのあとに掲載されています。
男性は「現在掲載されている盗用問題に関する様々な告知は、きちんと残して欲しい。誠意ある対応を期待している」と指摘します。
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