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よく見る天井の模様、実は名前があった! 由来は大理石、今も売れ筋
オフィスの天井などでよく見かける「あの柄」。実は「トラバーチン模様」という名前があるのを知っていますか?
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オフィスの天井などでよく見かける「あの柄」。実は「トラバーチン模様」という名前があるのを知っていますか?
【ネットの話題、ファクトチェック】
オフィスの天井などでよく見かける「あの柄」。不規則に虫食いの穴があいたような模様のことです。実は「トラバーチン模様」という名前があるのを知っていますか? その名前の由来や機能性はどんなものなのか? 天井材を作っている吉野石膏と大建工業に話を聞きました。
6月上旬、ツイッター上でトラバーチン模様の天井材が話題になりました。きっかけは今年2月の「よく見る天井の模様 気になったから調べてみた」というツイート。
その後、この投稿に対して「中学校の天井こんなだったなぁ」「手術して入院してた日々を思い出した」「現場ではムシクイと呼んでます」といったコメントが寄せられ、いいねは1万を超えています。
そもそも「トラバーチン」とは何を指すのか? webサイト「コトバンク」で検索すると、デジタル大辞泉の解説として以下のように書かれています。
「大理石の一種。緻密(ちみつ)な縞状構造をもつ。湧泉(ゆうせん)や地下水の炭酸カルシウムが沈殿してできる。建築や家具用材となる」
吉野石膏(本社・東京都)によると、トラバーチン模様を採用している天井材は「ジプトーン・ライト」など計6種類。そのうちの一つ、「マーブルトーン・ライト」の紹介ページでは、このように説明されています。
吉野石膏がトラバーチン模様を初めて採用したのが、1968年に発売した「ジプトーン」。これが大ヒットし、その後に発売された商品にも使われるようになったそうです。
採用した理由については「大理石の模様を意識したのだと思いますが、昔のことなのではっきりとしたことはわかりません」とのこと。
トラバーチン模様を使った商品は現在も主力で、価格が手頃・ネジが目立たない・供給が安定している、といった点が支持されているそうです。
公共・商業施設用のロックウール吸音板「ダイロートン」にトラバーチン模様を採用している大建工業(本社・大阪市北区)。
今でもトラバーチン模様柄は毎月約30万平方メートルを販売しており、こちらも天井材としては主力商品だそうです。
1964年の発売当初からトラバーチン模様を採用しているというダイロートン。担当者に理由を聞くと、こんな回答が返ってきました。
「約50年ほど前のことではっきりわかりませんが、ロックウール吸音板は、当時の経営トップがアメリカで視察した際、鉱物質繊維板をみて採用を決めました。トラバーチンは古くからローマ建築で使用されるなど、海外では比較的メジャーであり、現地のトラバーチン柄をそのまま採用した結果だと推測されます」
トラバーチン模様の機能性については、こう説明します。
「模様表面の穴によって天井の表面積が広がり、吸音性能が高くなることで、室内の気になる反響音が抑えられます。天井が石膏ボード+塩ビクロスの場合と比較して、3~5倍の吸音効果を発揮します。また施工の際に使用するビスが目立たないこともメリットのひとつです」
天井の模様が話題になったことについては、こう話します。
「なかなか注目されない天井材が話題になり、それをきっかけに当社製品にも興味を持っていただるのであれば、大変光栄です。快適空間を実現するために意図してつけた柄なので、ぜひその性能にも注目していただきたいです」
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