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水害被害から再建の手引き、九州豪雨で注目 「被災者にも広めたい」
記録的な大雨を観測した九州北部の豪雨災害。1週間以上が経ち、被災者の生活再建へ向けた動きが少しずつ始まっています。注目されているのが、全国の災害ボランティアでつくる団体が作成した「水害にあったときに」という手引きです。ネット上でも見られるチラシ版は、被災地の支援者たちがSNSで拡散。より詳細な冊子版は、被災地以外からも問い合わせが相次いでいます。過去の水害での復興支援の経験から、生活再建のために必要な事柄をまとめたこの手引き。担当者は「被災者たちはまだ読む余裕がないかもしれないが、役立つ情報をまとめたので、広めていきたい」と話しています。
手引きは、阪神大震災以降、数々の被災地で支援活動を行ってきた33団体のNPOや、ボランティア団体からなる「震災がつなぐ全国ネットワーク(震つな)」が日本財団の助成を受け、今年3月に作成しました。過去の水害被災地への支援経験をもとに「水害にあった人がしなくてはならないこと」を、イラストや写真を多く使って掲載しています。
チラシ版は、水害被害にあった際に最低限必要な情報を7項目に分けて掲載。震つなの松山文紀事務局長は「『被害状況を証拠として残しておくことが支援をスムーズに受けられる第1歩になる』など、生活再建へ向けてまずやるべき重要度が高い順番に構成した」と話します。
冊子版では、さらに詳細に書かれています。例えば、支援を受けるために必要な手続きでは、まずチャートで大きな流れを説明し、注意すべきポイントを箇条書きで掲載。実際にどれぐらいの金額を支給されるかも一覧表で載せています。
家屋のかたづけや掃除についても、「放置していた床や壁」「壁の裏の断熱材」など、実例を写真で示しながら注意点を紹介しています。
冊子版については、助成を受けて作成した3500部がすでに品薄に。計1万部を7月中に増刷し、段階的に被災地に届ける計画です。SNSなどで拡散され、被災地以外からの問い合わせも多いものの、「被災地優先の対応をしているので、それ以外の地域の人には8月に入ってからの問い合わせをお願いしている」と松山さんは話します。
8~12日、福岡・大分入りした松山さん。支援の合間に現地で会った被災者に冊子を配ったそうですが、読む人は少なかったそうです。「被災者の方はまだ余裕がないので、ある意味当然。それでも、役立ててもらえるように作ったので、避難所で休んでいるような時間に読んでもらえるよう、広めていきたい」。ボランティアが説明しながら配ったり、弁護士による無料法律相談の際に渡してもらったりして、被災者に周知していきたいということです。
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