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野党が求める「閉会中審査」って何?国会との違い、開いて何するの?
自民党が歴史的な大敗となった東京都議選で、国会の「閉会中審査」という言葉が注目されています。自民敗北の原因の一つとされる「加計学園」問題を審議するため、野党などが求めていました。過去にも安倍内閣の閣僚をめぐる不祥事や、東電福島第一原発の汚染水問題でも開かれたことがある「閉会中審査」。ふつうの国会との違いや、実際には何をするのかを解説します。
「閉会中審査」を超解説するのは朝日新聞政治部の松村愛デスクです。
――「閉会中審査」は、臨時国会を開くことではないの?
「『閉会中審査』は国会が閉会しているときに単発で行う審議のことです。次の国会が開かれるまでの閉会中でも、解明を急ぐ課題や、国会議員が政府に質問したいことがあれば、国会を開かずに特定の委員会だけを開いて審議することができます」
「こうした委員会を開くには、国会の閉会中であっても、委員長が必要あると判断すれば、与野党の委員を代表する理事と話し合って開催を決めるだけで開くことができます」
――国会ではなく委員会?
「はい、そうです。憲法53条にもとづいて国会議員が内閣に召集を要求し、全議員が集まる臨時国会とは違います」
――国会と委員会の違いは?
「衆議院と参議院にはそれぞれ17の常任委員会があります。委員会は法務、外交防衛、財政金融など、分野ごとの法案や課題を審議する場となっています。ほかに、震災復興や防災など課題を絞って設けられた特別委員会もあります」
「国会の審議の場は本会議ですが、全議員が集まる場なので細かい審議をする時間がありません。そこで、分野ごとの委員会で国会議員が法案について細部の検討を行い、決議をとったうえで、本会議に上程(提案)します。本会議では法案について賛成討論や反対討論が行われるなどして議決が行われます」
――過去にはどんな閉会中審査が行われたの?
「2015年11月、安倍内閣の新閣僚に浮上した不祥事についてただすため、衆参両院の予算委員会で閉会中審査が行われました」
「また、東京電力福島第一原発の汚染水問題で2013年9月、衆議院の経済産業委員会で閉会中審査が行われた際には当時の茂木敏充経済産業相や東京電力の広瀬直己社長らを呼んで質疑が行われました」
――東京都議選が終わったとたん、加計学園問題をめぐり衆参両院で閉会中審査が開かれることになったね。
「文部科学、内閣の両委員会による連合審査会という形で、7月10日に閉会中審査が行われます。加計学園の獣医学部の新設をめぐる『総理のご意向』文書が本物だと証言した前川喜平・前文部科学事務次官が参考人招致されることも決まりました」
――誰が出席するの?
「担当大臣として、松野博一文部科学相、山本幸三地方創生相も出席しますが、安倍晋三首相は出席しません」
――首相が出席しなくていいの?
「特定の分野に限らずあらゆるテーマについて扱う予算委員会には首相の出席を求めることができます。野党は安倍晋三首相が出席する予算委員会の閉会中審査を行うよう要求していましたが、自民は拒否しました。野党は『首相隠しだ』と批判しています」
「とはいえ、参考人招致をした際に首相が出席することはあまり例がありません。参考人か、首相か、質問の相手をはっきりさせた方が審議が深まると考えられるためです」
「閉会中審査でどんな新事実を明らかにできるのかに加えて、G20に出席するため海外出張中の安倍首相が帰国した後、あらためて予算委員会で閉会中審査が行われるのか、臨時国会を早期召集せよという野党の要求に与党が応じるのかどうかがポイントになります」