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「菅さんでも…笑える話がある」古賀茂明さんが最後に書きたい一冊
経済産業省の官僚だった当時、実名の論文で、民主党政権下の公務員改革が不十分であると訴えた元「改革派官僚」の古賀茂明さん(61)。新著「日本中枢の狂謀」(講談社)が発売2週間で3刷まで重版がかかるなど執筆活動でも活躍が盛んです。60代を迎え、「人生最後に書きたい本は何ですか」と尋ねました。
最近では、東京都知事選、新潟県知事選でも候補者として擁立の動きがあった古賀さん。近著では「報道ステーション」降板問題を入り口に、メディアの劣化や安倍政権のメディア統制の動き、原発問題などについて自身の体験や知見などを元に記しています。
その古賀さんが「人生最後、そうだな。だいぶ最後に近づいてきて……」と漏らした後に口から出たのは、意外にも、「実はね、小説を書こうと思っているんです」という言葉でした。
新著でも、キャスターの古舘伊知郎さん、菅義偉官房長官などの実名が出てきますが、「ノンフィクションとして書くと限界があるわけですよ、やっぱり。絶対こうだろうと思っていても、証拠がないと書けないじゃないですか」と話します。
「この裏にはもっともっと面白い話があるけれど、抑えている部分がある」。それを小説の形にすれば、よりリアルに伝えられる、と考えているそうです。
古賀さんの語り口を聞くと、まず思い起こされるのは「原発ホワイトアウト」(講談社)という小説。電力会社、政治家、省庁の癒着を書いた内容で、「現役キャリア官僚が小説の形で書いた告発本」として話題となりました。
東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題に関し、東電に厳しい姿勢を示し続けた泉田裕彦・前新潟県知事など、モデルがほぼ特定できる登場人物もいます。
「あの本のイメージですか?」と尋ねると、古賀さんは「あれよりもちょっと面白い。ははははは」と笑いました。
理由として、「原発ホワイトアウト」はサスペンス風の展開でしたが、古賀さんが考える小説は人間模様を織り込んだものになるから、とのこと。
古賀さんは性悪説でも性善説でもなく、「人間は基本的にみんな弱いもの」という「性弱説」という立場を採っているそうです。
「僕が何かを考える時に必ず考えるのは、人間の弱さという心理的なことなんですよ。政治家にしても、どこかの会社の政治家にしても、官僚にしても」
それぞれの立場ごとの弱さを考えると、物事の帰結はだいたい見えてくる。「その過程を書いていくと、すごく面白いと思う。とんでもない悪人でも笑える、というところがたくさんあるし、(官房長官の)菅さんでもたぶん、すごく笑える話があるだろうな、と思うんです」と話します。
それ以外にも「ジャーナリストは、実際の現場を一生懸命つぶさに足で稼いで取材してまとめるわけですが、そういう調査報道みたいなものも本当はやってみたいんです」と言う古賀さん。
「今、(加計学園問題で)文部科学省の職員が内部告発的なことをやっていて、守秘義務違反だとか言われているが、僕のように顔を出してやれる人が出てきて欲しいし、本で書くこともそうだけれど、僕みたいな人間がそういうことをやっても楽しく生きているよ、というのを見せることが大事だと思っている」
古賀茂明(こが・しげあき) 1955年8月、長崎県生まれ。東大法学部卒業後、通商産業省(現・経済産業省)入省。経済産業政策課長、中小企業庁経営支援部長などを歴任。公務員制度改革の必要性を訴えつづけ、改革派官僚として活躍したのち、2011年9月に退官。著書に『日本中枢の崩壊』(講談社文庫)など。
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