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国会って何? 通常・臨時・特別…それぞれ役割があるんです
6月に「通常国会」が閉会したと思ったら、今度は「臨時国会」をいつ開くか、何を話し合うかが話題です。あんな国会、こんな国会。「国会」を超解説します。
超解説するのは朝日新聞政治部の松村愛デスクです。
――そもそもなんで「通常」国会と呼ぶの?
毎年1回、必ず開くことが憲法や法律で決まっているから。新年度の予算案を時間をかけて審議し、年度末の3月に成立させるため、1月に召集することが国会法で決まっています。
会期は150日間。与党が重要な法案を審議するためにもっと日数が必要だと判断すれば、1回だけ会期を延長することができます。政府や議員が提出した法案の審議も重要な役割です。
――ほかにはどんな国会が?
「臨時国会」「特別国会」とあわせて全部で3種類あります。
「臨時国会」は年度の途中に扱う補正予算案などを審議します。
「特別国会」は衆院選の後、新しい首相を選ぶために開きます。「臨時国会」と「特別国会」は2回まで、会期を延長することができます。
「臨時」というだけに時期に定めはありませんが、慣例としてお盆が明けた後の秋に開くことが多いです。実は官僚や国会職員らが夏休みをとるため、という理由も。
「臨時国会」について書かれた憲法53条の条文には、「衆参いずれかで総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は臨時議会の召集を決定しなければならない」と規定されています。
――国会を開く日数、会期はだれが決めているの?
国会の召集を決めるのは内閣ですが、国会の進め方を決めるのは、衆参両院それぞれに設けられている議院運営委員会。略して「ギウン」と呼ばれ、各党から選出された議員が理事や委員となり、国会の運営について話します。
ただ、議運の委員数は各党の議員数に応じて配分されるため、どうしても与党のペースになりがち。このため、臨時国会についての憲法53条は、少数政党の発言を尊重するための規定とされています。
――では、4分の1以上の議員が求めれば議会が開かれる?
基本的にはそうだが、召集するかどうかを決めるのは内閣。過去には議員の4分の1以上が要求したのに、内閣が「無視」したことがあります。
――それはいつ、だれ?
今の第二次安倍政権です。安全保障関連法を成立させた2015年、民主党など野党が4分の1以上の議員の賛同を得て臨時国会の召集を要求しましたが、安倍首相は外遊などを理由に拒みました。結局、翌年1月の通常国会まで国会は長期にわたり開かれませんでした。明らかに憲法の趣旨に反する、と批判されました。
――「通常国会」はもやもやが残ったまま。
世論の賛否が割れる「共謀罪」法で、与党や日本維新の会は委員会の採決手続きを省略して数の力で採決を強行しました。また、国家戦略特区の制度を使った「加計学園」の獣医学部新設に政治家や官邸幹部が関与したのかしなかったのかなど問題は積み残されています。
それなのに、通常国会では党首討論が、通常国会では初めて一度も行われませんでした。予算委員会では、安倍首相が出席した集中審議は衆参11日ずつ計22日間しか行われていません。第二次安倍政権でもっとも少ない。野党は閉会中審査を開くよう求めています。
――なぜ拒むの?拒んでも何かに違反しないの?
罰則規定はないんです。少数派の要求であってもその意思を尊重すべきだと内閣に義務づける一方、召集要求にいつまでに応じるべきかという点は明確でなく、過去の政府答弁で「合理的な期間を超えない期間内」としています。つまり、内閣が召集要求を拒む場合には、合理的な理由を示す姿勢が求められるのです。
――予算委員会って、国会と何が違うの?
委員会の一つですが、扱う政策分野が決まっている農水、法務などの委員会と違って、すべての政策分野について扱うことができます。
首相が出席する予算委員会はテレビ中継されることも多く、野党にとって格好の見せ場になっています。
――加計学園問題の解明のために「臨時国会」を開くことはできるの?
制度上はできます。問題の真相解明を求め、野党は秋まで待たずに早期に臨時国会を召集するよう求めています。だが、召集できるのは内閣。安倍首相も自民党も拒んでいます。
――1月の「通常国会」、秋の「臨時国会」、と会期を与党が決めているのなら、全然「臨時」ではないのでは?
そういう批判も起きています。
国会とは、法律をつくることができる唯一の立法府です。同時に、国民の代表たる国会議員が議論を戦わせる場でもあります。
国民世論の多くが「解明を」と求める問題が横たわっているなら、国会がその要請に応じるのは当然のこと。国会の開催をめぐる政党や議員のスタンスは、どこまで世論に耳をかたむけているのかをはかるバロメーターにもなります。