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コラム

これ以上働いたら壊れるよ…〝30秒で泣ける漫画〟の作者が描く過労死

漫画家・吉谷光平さんが、過労死について描きました。

漫画「また過労死」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「また過労死」の一場面=作・吉谷光平さん

 「これ以上働いたら本当に壊れちゃうよ」。ツイッターに投稿した漫画「男ってやつは」が〝30秒で泣ける〟と話題になった漫画家・吉谷光平さんが、過労死について描きました。

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漫画「また過労死」=作・吉谷光平さん
漫画「また過労死」=作・吉谷光平さん
 「これ以上働いたら本当に壊れちゃうよ」――。2014年に42歳で過労死した食品スーパーの男性社員は、亡くなる1カ月ほど前、友人宛てのメールにそう書いていました。
漫画「また過労死」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「また過労死」の一場面=作・吉谷光平さん
 メールを送った約1週間後、男性は勤務中に言葉が出づらくなり、救急車で搬送されて入院。いったん退院して仕事に復帰しましたが、今度は勤務が終わった直後に勤務先の店の駐車場で倒れているのを発見され、約半月後に脳梗塞で息を引き取りました。

 2年後の2016年6月、長時間労働による過労などが原因で死亡したとして、労働基準監督署が労災と認定しました。
漫画「また過労死」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「また過労死」の一場面=作・吉谷光平さん
 会社のシステムに残っていた男性の出退勤記録を調べても、残業時間は月80時間の「過労死ライン」を大幅に下回っていました。それでも、労災が認められたのはなぜか?

 根拠は、店が保存していた「退店チェックリスト」にありました。最後に店を出る従業員がエアコンや照明の消し忘れを防ぐために記入する用紙です。

 警備機器の記録とシステムの入力時間は大きく食い違っていました。

 たとえば、亡くなる前月の5月4日。システム上の退勤時刻は「21時18分」でしたが、チェックリストに男性の名前があり、警備機器が作動したのは「26時1分」。

 こうしたズレを合計すると、5月の残業はシステムの記録より約20時間も長くなりました。始業前に働く「早出」をしていた形跡もあったそうです。
漫画「また過労死」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「また過労死」の一場面=作・吉谷光平さん
 労基署もこうした実態を考慮。警備記録を参照し、発症前の4カ月の平均で75時間53分、1カ月あたりの最大で96時間35分の時間外労働があったと認定。

 いずれも政府が導入を目指す残業時間の上限規制の範囲内で、「過労死ライン」も下回っていますが、ほかにも具体的に時間数を特定できない早出・残業があったと推定し、労災を認めました。
漫画「また過労死」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「また過労死」の一場面=作・吉谷光平さん

 【よしたに・こうへい】 漫画家。サラリーマン生活や漫画家アシスタントなどを経て、月刊スピリッツの「サカナマン」でデビュー。漫画アクションで「あきたこまちにひとめぼれ」を連載中、月刊ヤングマガジンの連載「ナナメにナナミちゃん」の単行本1巻が発売中。ツイッターで公開した2ページ5コマの漫画「男ってやつは」が〝30秒で泣ける〟と話題に。

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