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フジテレビ、誤放送をお詫び 宮崎監督特集、ネットのデマと酷似
日曜日放送のフジテレビ系情報番組「ワイドナショー」で、ネット上で拡散されたデマが、事実であるかのように放送されたと騒ぎになっている。フジテレビは番組公式サイトに、「真偽を確認しないまま放送に至った」とお詫び文を掲載した。
問題となっているのは、今月28日の「ワイドナショー」。映画監督・宮崎駿さんが長編アニメ制作からの引退を撤回したことが、約9分間にわたり特集された。
冒頭で「これ、ちょっと面白いですよ」と紹介されたのが、宮崎監督が過去7作品の制作時に「引退宣言」をしてきたというものだった。
画面上に「宮崎駿 引退宣言!?」と表示され、映されたフリップには過去の宮崎監督の発言として
・1986年 天空の城ラピュタ「人生で最高に引退したい気分」
・1992年 紅の豚「アニメはもうおしまい」
・1997年 もののけ姫「100年に1度の決意。これを最後に引退」
・2001年 千と千尋の神隠し「引退してシニアジブリを立ち上げる」
・2004年 ハウルの動く城「ここ数年で最高の辞めどき」
・2008年 崖の上のポニョ「体力的にも本作が最後の長編になるだろう」
・2013年 風立ちぬ「出来は上々で申し分の無い引退のチャンス」
と羅列されていた。
これを見た出演者からは「7回はちょっとひどくないですか」「うそばっかりやん」といった発言が。一方で「かっこいいじゃないですか。毎回命がけで撮ってるから、力尽きたと思うんですよ」といった発言もあった。
放送直後からネット上では、フリップが「虚偽の『ネタツイート』と内容が同じだ」と騒動に。ツイッターでは2013年9月に似た内容の投稿がされ、すぐに投稿者本人がジョークだと明かしている。しかしこの情報は拡散し、まとめサイトなどで実際の宮崎監督の発言かのように転載されているケースもある。
比べてみると、ワイドナショーのフリップで「ラピュタ」「もののけ姫」「ハウルの動く城」「風立ちぬ」の4作品での発言とされたものが、拡散した虚偽情報と一致している。
スタジオジブリによると、番組側から事前に確認取材はなかったという。
フジテレビは29日午後に、番組公式サイトにお詫び文を掲載。
「宮崎駿氏の過去の引退に関わる発言としてフリップで紹介した内容が、実際には宮崎駿氏の発言ではなかったことが分かりました。真偽を確認しないまま放送に至り、宮崎駿氏並びに関係者の皆様、視聴者の皆様にご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます」
としている。しかし、何を情報源にフリップを作ったかについては「番組制作上のことのため、詳細はお答えしていない」(広報担当者)として明らかにしなかった。
担当者は「チェック体制を強化して、再発防止につとめたい」と話した。
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