IT・科学
話題のSNS「マストドン」 ニッポン放送まで運営に参入、なぜ?
ポストTwitterとも言われるSNS「Mastodon(マストドン)」の人気が急拡大しています。特徴は誰でも「インスタンス」と呼ばれるサーバーを立ち上げ、利用者を集められること。企業も続々と参入する中、異彩を放っているのがニッポン放送です。なぜ、ラジオ局が参入を? 狙いを聞いてみました。
「存在を知って、やってみようとすぐに提案しました」
ニッポン放送デジタルソリューション部の金杉天斉さん(30)と澤田真吾さん(28)が、「TUNER」という名前のインスタンスを立ち上げたのは今月20日のことでした。ログイン画面にはラジオを持った象の画像をあしらいました。
2人は普段は、番組公式サイトの運営などを担当しています。マストドンが話題になった直後に社内会議で提案したところ、ツイッターで15万人のフォロワーを抱える人気アナウンサー・吉田尚記さんからも「注目していた」と後押しが。
一気に社内調整が進み、3日後には立ち上げました。サーバーは関連会社のものを間借り。約700人が利用者登録しています。
すごい!なんと会社のサーバーにマストドンができた!! https://t.co/9HyBROSTBt です!うちの会社にもこういうことを平気でやってのける若手が出てきたぜーww https://t.co/AYhPUSlMBE pic.twitter.com/iAZTn1fwtV
— よっぴー (@yoshidahisanori) 2017年4月20日
現在、イラスト投稿サイトを運営するピクシブや、ニコニコ動画のドワンゴなどがインスタンスを運営しています。ただ、その大半はIT企業で、ニッポン放送は今のところ異色の存在です。
金杉さんは参入理由を「利用者のコミュニティが強調されているところに可能性を感じました」と振り返ります。
ツイッターでラジオ番組の情報を知りたいときには、番組名のハッシュタグなどで検索するのが一般的です。ただ、その方法では特定の番組に関するつぶやきしか流れてきません。
一方、マストドンでラジオ好きが集まるインスタンスに登録すれば、ラジオの話題がたくさんの人と雑談をしているように勝手に流れ込んできます。
ネットやスマホの存在感が増すなかで、ラジオの楽しみ方を広げる取り組みは急務だといいます。いまや、ネットサービス「radiko」で、全国のラジオ放送が聞けます。ニッポン放送でもその変化に合わせ、昨年秋、おすすめのローカル番組を紹介するネット番組「週刊ラジオ情報センター」を始めました。
ニッポン放送の鳥谷規・デジタルソリューション部長は「ラジオをどう活性化していくか、業界全体で考えなくてはいけないところまで来ている。利用者が文化を創っていくという点で、ラジオとマストドンは相性がいいかもしれない」と話します。
今後、マストドンの人気が定着するかは未知数です。
ただ、鳥谷さんは「(看板番組の)オールナイトニッポンは、もともと誰も知らない人をパーソナリティにして人気者を生んできました。タモリさんだって、最初は誰もしらなかった。新しいものが出てきたときには、取り組んでみないと何も分からない」と強調します。
マストドンは、タモリになれるでしょうか。
それは分かりませんが、同じ興味を持つ人が集まれる特徴を生かして、ユニークなインスタンスが次々生まれています。
今月24日にできたのは、複雑な数式を投稿できる機能がついた「Mathtodon」。名前に「Math(数学)」とある通り、数学好きが集まって「これ誰か解けます?」「一応解けてはいますが誰かと比較したいです」と、談義が交わされています。
おまたせー! 数式がかけるMastodon、その名も Mathtodon だよー! みんなで数学の話をしようよ! お待ちしてまーす。ささっ、どうぞ→ https://t.co/Gl6KTjLJg9 #Mathtodon pic.twitter.com/RwkJpd7789
— Nyoho@Mathtod.onLine (@NeXTSTEP2OSX) 2017年4月24日
奈良を盛り上げるために作られた「奈良トドン」では、いつのまにか「ナウ鹿」「おこるでしかし」など鹿を含む名前で登録する流れが定着。
投稿内容も鹿にちなむものばかりで、鹿せんべいをかじる「パリパリパリパリパリパリパリパリ」という投稿が盛んに流れてきます。
1/37枚