IT・科学
世界の「SNS番長」インドのモディ首相 フォロワー4千万の秘密
世界の指導者で「SNS番長」は誰か? 最新の調査によると、インドのモディ首相が断トツだったことがわかりました。SNSといえばアメリカのトランプ大統領と思いきや…この結果。なぜなのか。専門家は、人口の多さに加え、SNSの「ボランティア集団」など巧みな発信戦略があると指摘します。
アメリカのPR会社バーソン・マーステラが2017年4月に発表した調査結果によると、世界でSNSのフォロワー数が最も多い政治家は、米国のトランプ大統領ではなく、インドのモディ首相でした。
モディ首相のフェイスブックのフォロワーは4000万人で、トランプ大統領の2000万人の約2倍があります。
インスタグラムのフォロワーも、モディ首相は680万で、トランプ大統領の630万を上回っています(データは調査当時のもの)。3位はローマ法王フランシスコの370万。以下、ホワイトハウスのオフィシャル・アカウント、インドネシアのジョコ大統領と続きます。
ツイッターでは、モディ首相が2900万フォロワーで、こちらもトランプ大統領の2800万を超えています。
さらに、中国版ツイッターの微博(weibo)にもモディ首相はアカウントを持っていて、17万近くのフォロワーに中国語で発信しています。
デジタルマーケティングとPRを手がけるGutenberg社のハジーヴ・シンCEOによると「モディ首相は世界で最も優秀な政治コミュニケーターの一人で、インドの13億人にメッセージを伝えるため効率的にソーシャルメディアを使っている」と評価します。
シンCEOによると、モディ首相はSNS発信用に自分で専用のアプリを開発。SNSだけでなく、ラジオ番組「Mann Ki Baat」(「私の心から話す」)にも毎月、出演しているそうです。
「様々なメディアを使った積極的な発信が、モディ首相のSNSでの人気につながっているのです」
ウォールストリート・ジャーナルは、モディ首相のインド人民党(BJP)は、選挙の時からデジタルキャンペーンに力を入れていたと伝えています。
「online volunteers(オンラインボランティア)」と呼ばれる若者たちが、選挙後もSNSで応援を続けているそうです。
「オンラインボランティア」は、モディ首相の講演をテキスト中継したり、オンラインビデオも作ります。モディ首相が発信する政策についてのツイートをリツイートしたり、コメントを投稿したりして、注目が集まるようにしています。
モディ首相のSNS人気には、インド特有の背景もあります。
人口が13億いるインドで、ネットユーザーは、まだ4分の1程度ですが、利用者は急速に伸びています。
フェイスブックによると、利用者数(2016年12月現在)はアメリカ2.09億人、インド1.4億人となっています。ちなみに日本は2700万人です。
SNSが活発な理由は、インドの人口構成も影響しています。
インド人でもあるGutenberg社のシンCEOは「若者たちに新しい技術への興味関心が高い。またインドでも通信速度の早い回線4Gが普及すれば、今後の5年間でネットユーザーが4億人から10億人に達する」と予測しています。
フェイスブックジャパンは、モディ首相のSNS人気について「インドはそもそもの人口が多く、SNSのユーザーも多くなります。そのため、政治家の多くがフェイスブックを利用しており、モディ首相はその代表的な人物になります」と分析しています。
世界の指導者の中で、モディ首相のSNSにはどんな特徴があるでしょうか。
インドのSNSに詳しいムーンライトウェイヴ社の望月奈津子さんは、投稿につくコメントの多さに注目します。
「2015年1月にモディ首相がオバマ大統領(当時)を出迎える写真を投稿した時、1時間で70万の『いいね』がつき、2万のコメントが寄せられました」
コメントには、「モディ首相大好き」、「最大の民主主義国家と最強の民主主義国家が友人だ」「パキスタンはどう見ているだろう」「Mark Zuckerbergさんも『いいね』しているね」など様々な感想が寄せられています。
望月さんは「コメントの内容を分析すれば、その国の世論も見えてくると思います」と話しています。
1/15枚