話題
「完成まで30分、熊本へ思いはせて」 段ボールの熊本城、全額寄付へ
発生から1年を迎えた熊本地震。大きく傷ついた熊本城の復旧を支援しようと始まった「熊本城組み立て募金」を取材しました。
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発生から1年を迎えた熊本地震。大きく傷ついた熊本城の復旧を支援しようと始まった「熊本城組み立て募金」を取材しました。
発生から1年を迎えた熊本地震。大きく傷ついた熊本城の復旧を支援しようと、富山市の会社が「熊本城組み立て募金」を始めました。段ボール素材を使った組み立て式の熊本城を販売し、全額を寄付する取り組みです。お金だけでなく「完成までの30分、その時間や思いを復興の力にしたい」との狙いが込められています。企画した会社の社長に話を聞きました。
昨年の地震で天守閣などが損壊した熊本城。完全復旧に要する時間は20年とされており、伝統技術に最新の科学技術を組み合わせた修復作業が続けられています。
復旧に1万円以上を寄付した個人や団体を「復興城主」と名付ける制度もあり、申し込みは5万件以上、寄付総額は9億円を超えています。とはいえ、復旧費用は600億円を超えると試算されており、その道筋は不透明です。
そんな中、富山市の段ボールを扱う会社「サクラパックス」が今月11日に立ち上げたのが「熊本城組み立て募金」です。
手のひらサイズの熊本城を組み立てる段ボールキット「カードボードキャッスル熊本城」を税込み2000円で販売し、その全額を寄付するという取り組みです。企画の狙いについて、ホームページでこう紹介しています。
「段ボール熊本城を組み立てるには、およそ30分ほど。組み立てたみんなの時間を少しずつ集めて熊本城復旧のチカラに変える。あなたの時間を、復興のチカラに」
作っている間に熊本のことを考える。完成した城を部屋に飾っておけば、見るたびに熊本のことを思い出す。お金だけでなく、参加した人の時間や思いも届けたいという願いが込められているといいます。
今回のプロジェクトの狙いについて、サクラパックスの社長・橋本淳さんに話を聞きました。
――今回の企画のきっかけは
「これまでも段ボールを使った社会貢献を実施してきましたが、東日本大震災が起きたときに『誰かの笑顔のために仕事ができる会社になりたい』と考え方が変わりました。困っている人、つらい思いをしている人に向けて、何か支援できることはないかと模索する中で、熊本地震から1年が経ったいま、継続的にしっかりと支援していきたいという思いで、プロジェクトを立ち上げました」
――出身者がいる、取引先があるなど、熊本と何かゆかりがあるのでしょうか
「特にありません」
――売り上げの一部ではなく全額を寄付するのでしょうか
「全額です」
――そこまでする理由は
「弊社の経営理念が『ハートのリレーで笑顔を創り、世界の和をつなぐ』だからです。また、常々『会社は社会の公器』と考えているからです」
――「組み立てた時間も支援に」というコンセプトはどのようにして生まれたのですか
「試しに一度、ミニチュアの段ボール熊本城を組み立ててみてください。この約30分の組み立てを行っているときに、熊本のこと・熊本城のことを考えるはずです。段ボールの熊本城は、机の上に置いていただけば、いつでもそれを見て熊本を思い出してもらえます。風化をなくしたいとの思いを込めました」
――こだわった点は
「熊本城の売りは『石垣』なので、そこにはこだわりました。また、組み立てる時間が思いになると考えているので、少し時間のかかる精巧な作りにしています」
――先日、六本木などで体験イベントも実施していましたね
「これから長きにわたって活動していくものなので、一番発信力のある場所で行うことにしました。SNS上でも、どんどん広がっていってほしいと思っています」
――この企画に期限はありますか
「最低でも1年間は続けます。来年の4月に一度まとめて寄付しますが、その後も継続していきます」
――興味を持った人に向けてメッセージを
「熊本に限らず、いつの時代も困っている人がいれば助け合う社会になってほしいと心から願っています。小さな一歩も、みんなで踏み出せば大きな一歩となります。熊本の方々が一日も早く笑顔になっていただけるよう、全力で取り組んでいきます」
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