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継ぎ目はどこ? 職人のスゴ技「文字が消える金属板」 町工場に聞く
職人技で作られた「文字が消える金属板」が話題になっています。
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職人技で作られた「文字が消える金属板」が話題になっています。
【ネットの話題、ファクトチェック】
一見するとただの金属板。しかし、上部のボタンを押すと「武田金型製作所」の文字がゆっくり前に飛び出てきて、離すと継ぎ目も確認できない金属板に戻ります。この様子を撮影した動画がツイッターで話題になっています。1000分の3ミリの精度で加工できる機械を使って作ったというこの金属板について、制作した新潟県燕市の会社に話を聞きました。
これすごいww
— ニパ子 ありがとう俺タワー (@godhandtool) 2017年4月15日
加工精度の無駄遣いww(褒め言葉 pic.twitter.com/PFLLSWBEww
話題になっているのは、ニッパーを擬人化した「ニパ子」のツイッターが今月15日に投稿した動画です。
何も書かれていない金属板の上にあるボタンを手のひらで押すと、「武田金型製作所」の文字がゆっくり前に飛び出てきて、離すと元に戻ります。角度を変えて再度写していますが、それでも文字部分と周囲の継ぎ目は確認できません。
この動画に対して「芸術です」「なんか知らんが鳥肌が」「文字にしてることがとてつもなく凄い」といった反応が寄せられ、リツイートは3万4千を超えています。
この金属板を作ったのは、新潟県燕市にある「武田金型製作所」です。
実は昨年、同社で作った「mgn」の文字が動く金属板の動画が話題になっており、今回は第2弾として作られたものです。
「アルファベットから漢字になったことに加えて、文字数も増えているので、難易度は上がりました。制作にかけた時間は120時間くらいです」と話すのは、社長の武田修一さん(62)です。
「mgn」の金属板は、企画や販売を手がける子会社「MGNET(マグネット)」のロゴを使ったもので、展示会などで金型の精度の高さを伝える目的で作ったそうです。
この時は、文字部分を手で押して出し入れする方式だったため、今度はバネやカムを内蔵してボタンで動くタイプを作ったといいます。
使った道具は「ワイヤーカット放電加工機」と呼ばれる1000分の3ミリの精度で加工できる機械。
1枚の金属板から文字部分、別の金属板から周囲の枠部分をそれぞれ切り出し、サイズを合わせて組み合わせたそうです。
「金属のひずみをとるのに苦労しました。素材によって特性が異なるので、それを把握して作業しないとピッタリにはなりません。なかなかひと言では言えないノウハウがあるんです。削る加工だけでなく、仕上げの研磨でも、継ぎ目が見えにくいような工夫がされているんですよ」と武田さん。
同じ機械を導入している会社もあるそうですが、見学に来た同業者からは「ここまで正確にはできないよね」と声をかけられたそうです。
「そもそも、仕事の金型を作るときにここまで精度を求められることはありません。今回はうちの技術力を知ってほしくて作りました」
ネットで話題になったことについては「小さい町工場でもこんなことができるんです。日本のものづくりがもっと盛り上がってくれたら、うれしいです」と話しています。
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