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コラム

卒業ソング、なぜ泣ける? 〝30秒で泣ける漫画〟の作者が描く

卒業ソングは、なぜ受けるのか? 漫画家・吉谷光平さんが描きました。

漫画「卒業」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「卒業」の一場面=作・吉谷光平さん

 卒業ソングは、なぜ受けるのか? ツイッターに投稿した漫画「男ってやつは」が〝30秒で泣ける〟と話題になった漫画家・吉谷光平さんが描きました。

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漫画「卒業」=作・吉谷光平さん
漫画「卒業」=作・吉谷光平さん
 毎年この時期になると、テレビやラジオで卒業にまつわる歌がよくかかります。定番の「蛍の光」や「仰げば尊し」だけでなく、Jポップの新曲も毎年発表され、学校の卒業式の定番になる曲もあります。卒業ソングは、なぜ受けるのか? 立教大文学部教授・有本真紀さんに取材した記事が先日、朝日新聞に掲載されました。
(学びを語る)卒業ソング 感動を強制していないか 有本真紀さん
漫画「卒業」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「卒業」の一場面=作・吉谷光平さん
 記事によると、明治半ばまで、小学校入学は随時受け付け、10歳離れた同級生もいて落第もあったといいます。まもなく、義務教育年限が統一され、同じ日に入学した同年齢の子がそろって卒業することが一般化。卒業式は、共通の思い出を確かめ合う「感情共同体」のイベントになっていったそうです。
(学びを語る)卒業ソング 感動を強制していないか 有本真紀さん
漫画「卒業」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「卒業」の一場面=作・吉谷光平さん
 現代の卒業ソングの多くは、過去は輝き、いまは別れのときで、はばたく未来は限りない青空、という時制の3要素に、教室など場所の要素を読み込んだつくりで、涙を誘う卒業式の観念を支えているといいます。涙が「良し」とされる場だと、多くの人が認めるからこそ心を揺さぶられるようです。「卒業式で泣かないと冷たい人と言われそう」(松本隆作詞、「卒業」)の歌詞には、泣くのが自然だとする不文律がよく表れているといいます。
(学びを語る)卒業ソング 感動を強制していないか 有本真紀さん
漫画「卒業」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「卒業」の一場面=作・吉谷光平さん
 そして有本さんは、記事をこう結んでいます。

 「しかし、卒業式といえば底冷えのする体育館で繰り返し入場や礼の仕方を練習させられた人は少なくない。今も、感動を半ば強制されながら、あらがえない卒業生がいるのではないか。最近は、学校が感動的な卒業式をしたがる傾向が強まっていると感じる。生徒への同調圧力になっていないか、学校は一度立ち止まって考えてみてほしい」
(学びを語る)卒業ソング 感動を強制していないか 有本真紀さん
漫画「卒業」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「卒業」の一場面=作・吉谷光平さん


 【よしたに・こうへい】 漫画家。サラリーマン生活や漫画家アシスタントなどを経て、月刊スピリッツの「サカナマン」でデビュー。月刊ヤングマガジンの連載「ナナメにナナミちゃん」の単行本1巻が発売中。ツイッターで公開した2ページ5コマの漫画「男ってやつは」が〝30秒で泣ける〟と話題に。

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