話題
プレミアムフライデー、風営法の業種差別? 指摘受けロゴ規約変更へ
ダンスクラブやゲームセンター、バー、居酒屋…。風俗営業法に定められた各種営業はプレミアムフライデーのロゴマークを使えない? わかりづらい使用規約が波紋を呼んでいます。
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ダンスクラブやゲームセンター、バー、居酒屋…。風俗営業法に定められた各種営業はプレミアムフライデーのロゴマークを使えない? わかりづらい使用規約が波紋を呼んでいます。
働き方改革や消費喚起をねらい、官民が推進するプレミアムフライデー。ところが、ダンスクラブやゲームセンター、バー、居酒屋など、風俗営業法に定められた各種営業の事業者は規約上ロゴマークを使用できないのではないか、という懸念が広がっています。「業種差別」とも受け取られかねない事態に、プレミアムフライデー推進協議会の事務局は規約を変更する方針です。
プレミアムフライデー推進協議会では、プレミアムフライデーを普及させるためのロゴマークを用意しています。企業や団体が事務局に申請して認められれば、商品やイベントなどにロゴを活用できる仕組みで、公式サイトによると、これまでの申請数は5千件を超えています。
ロゴの使用規約には、使用が禁止される例として「公序良俗に反するものに使用すること」「法令及び規則などに違反するものに使用すること」と並んで、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和 23 年法律第 122 号)第 2条に規定する営業又はその広告等に利用される場合。ただし、特に経済産業省がプレミアムフライデーの取組の活性に寄与する事を認める場合はこの限りではない」と記載されています。
プレミアムフライデー(Premium Friday) 月末最後の金曜日はいつもと違う豊かさを楽しむ日。
それでは、「風営法の第2条に規定される営業」とは、どんなものを指すのでしょうか。
法律の条文には、「風俗営業」「性風俗関連特殊営業」「特定遊興飲食店営業」「(酒類提供)飲食店営業」といったカテゴリーが列挙されています。ざっくり説明すると、
「風俗営業」にはキャバクラやパチンコ店、ゲームセンターなど
「性風俗関連特殊営業」にはソープランドやファッションヘルスなど
「特定遊興飲食店営業」にはダンスクラブやライブハウスなど
「飲食店営業」にはバーや居酒屋などの酒類を提供する営業
…が含まれます。「風俗」という言葉の響きから「性風俗」だけをイメージする人も少なくありませんが、実は風営法には娯楽やエンターテインメントにかかわる様々な業種が包括されているのです。
プレミアムフライデーは官公庁もかかわる取り組みのため、性風俗関係が排除されるのはやむを得ないとして、クラブやライブハウス、ゲームセンター、居酒屋といった業種まで幅広く「原則NG」の扱いとなることに対しては疑問の声もあがっています。
『日本版カジノのすべて』の著者で風営法に詳しい木曽崇さんは、「プレミアムフライデーと風俗営業種」と題したブログで規約の問題点を指摘。「風俗営業種は経産省から嫌われているようです」と書きました。ゲームセンターの事業者から「ロゴを使いたかったが、ゲームセンターは断られるようだ」という情報を得たことが、執筆のきっけになったといいます。
木曽さんは「風俗営業は『適正に営まれれば国民に健全な娯楽を提供する』というのが警察庁の公式見解です。法律に基づいて許可を得た事業者はお墨付きを得ているわけで、差別的な待遇はおかしい。2015年の風営法の改正には夜のエンターテインメントを活性化する意味合いもあり、もしロゴ申請が断られるとしたら、その趣旨にも反しているのでは」と話しています。
風営法に基づいて営業許可を得ている事業者はプレミアムフライデーが掲げる「余暇の創出による消費喚起」に最も則った業者として警察からお墨付きを頂いている業者群であり「爪弾き」をされる言われはありません。
こうした規約に問題はないのか、プレミアムフライデー推進協議会の事務局に質問すると、メールで次のような回答がありました。
気になったのは「法律に則り」という言葉です。つまり、風営法に基づいて許可を受けたり、届け出を済ませたりした事業者はロゴを使えるということなのでしょうか。
使用規約の文面を読む限りでは、許可を得た合法事業者であっても原則NGと解釈できますが……。実際、木曽さんに情報提供した事業者のように、規約を読んでロゴ使用をあきらめる例も出ています。
誤解を招く恐れのある規約を修正する考えはないのか、再度事務局に問い合わせると、後日メールで以下のような回答がありました。
新たな取り組みとして賛否が分かれるプレミアムフライデー。規約が変わって風営法関連の事業者に門戸が開かれれば、運動の普及にも弾みがつくかもしれません。
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