IT・科学
わっしさんからの取材リクエスト
自動ドア、反応しない理由は?
「自動ドアが反応しない人」の理由 影が薄い人…じゃなかった!
店舗などの自動ドアが反応してくれず、挟まれてしまうことさえあります。
反応のしやすさに個人差があるのはなぜなのでしょうか。
よろしくお願いします。 わっし
ある日、当たり前のように自動ドアの前に立ったら、全然、反応しなかった……。そんな経験ありませんか? なんか影が薄い人間のようでちょっと落ち込みます。反応しにくい人には、何か原因があるのでしょうか? 取材してみました。
ナブテスコは、国内の自動ドアでシェアが50%以上ある大手メーカーです。同社の住環境カンパニー商品企画部主査の構井克典(よしのり)さんは「自動ドアのセンサーには、熱線式(温度のセンサー)、光線式(光の反射)、超音波などがあります」と言います。
以前、多かった熱センサーは、人間の体温と周囲の温度を比較して探知し、作動します。しかし屋外だと温度変化が激しく、特に猛暑日は、人間の体温と屋外の気温とほとんど変わらなくなるため、センサーの作動が非常に鈍くなります。現在、熱センサーの自動ドアは、室内の警備用に限られているそうです。
超音波センサーは、気温の影響を受けにくく、犬や猫には反応しないように高さのコントロールができますが、雨風に弱いというデメリットがあります。
現在、主流なのは光線式センサーで、8-9割を占めているそうです。
光線式センサーは、光の反射の多さを測定し、人間かどうかを判断します。光反射は気温の影響を受けにくく、また雨風にも強いというメリットがあります。最新のセンサーは、高密度で検知エリアの抜けがなくなっており、かなり正確に人を検知します。
そんな光線式センサーですが弱点もあります。
一つ目は、服の素材です。黒い服や、毛足の長いモコモコした服は、光を反射しにくくなります。
二つ目は、床の材質です。絨毯などが敷かれていると光を反射しにくくなります。
構井さんは「今の光線式センサーはかなり性能がいいですが、黒い服を着て、ドア前に絨毯が敷かれていると、センサーの反応が鈍くなることはあります」と話します。
自動ドアに反応しなかった人、どんな服装か思い出してみてください!決して「影が薄い」わけではないみたいですよ。
逆に自動ドアが反応しやすいのはどんな時かというと…。
反射しやすい、光沢感のある服。スパンコールなどがついているとなおよし。実際、建設現場などでは、機材の台車に確実に反応させるために、銀色の反射テープを貼ることもあるそうです。
床の材質で一番いいのは大理石。光が反射しやすい素材のマットもおすすめです。
自動ドアの技術は日々進歩していますが、町なかにはまだまだ古い自動ドアがあります。自動ドアにはエレベーターのような法定点検の制度がないので、20年、30年と保守点検せずに使い続けられているものが少なくありません。
使用期間が長くなると、経年劣化により反応が鈍くなることがあり、旧タイプのセンサーは最新型のものより検知精度が低い場合があります。そういったことから、自動ドア販売会社各社は保守契約をすすめています。
反応しない自動ドアは事故の原因になりかねません。全国自動ドア協会JADAによると、自動ドアの事故は小さな子どもや高齢者に多く、場合によっては、ケガをしてしまう危険があります。
トラブルの原因は「駆け込み」「立ち止まり」「斜め進入」が半分以上を占めているそうです。
意外とこわい自動ドアの事故。反応しなくて影が薄いかも…などと言っている場合ではありません。
構井さんは「この三点はぜひ伝えたい」と言います。
(1)ながらスマホでエントランスなどを通行しない。(前方が見えないと、自動ドアの開閉を認識できません)
(2)斜めに入らず、真ん中から入る。(センサーが検知しやすいので)
(3)開くのを見てから入る。駆け込みしない。(自動ドアが開く速度より早く駆け込むと危険です)
自動ドアのプロのアドバイスでした。
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