IT・科学
中国の名門大学に現れた「謎の横断幕」 実は「愛の告白」だった…
3月8日は「国際女性デー」として徐々に知られるようになっていますが、中国では3月7日が「女神の日」として有名です。中国の大学のキャンパスでは「告白」の文面を書いた横断幕が出現します。いったい、この「女神の日」とは何のか? 女子学生の反応は? 各地で現れる「謎の横断幕」を取材しました。
そもそも中国では、社会主義の影響で3月8日を「婦女節」(=婦女の日)として定めており、女性はその日に職場で慰労品などをもらい、慰安旅行に出かける習慣がありました。
現在もその名残で、3月8日は女性の日として祝う習慣があります。ただし、現在はショッピングや消費を促進する「購買の日」のニュアンスが強く、ネットショッピングのサイトなどでは「女王の日」として宣伝されています。
3月7日に出現する大学のキャンパスの横断幕は、3月8日にちなんだものだと言われています。
ただ、未婚女性を「婦女」と呼びにくいことから、前日の7日が「女神の日」になりました。そして、最近は、男子学生が女子学生に集団で「告白」することが定番化しつつあり、規模もエスカレートしています。
私が北京で大学生活を過ごした10数年前は、まだ「女神の日」はありませんでした。
中国の大学はは基本的に全寮制のため、地元出身でも大学キャンパスにある寮に住むのが普通です。そして、私が入っていた寮はお湯が出なかったので、毎日、魔法瓶を持ってお湯汲み場へ行く必要がありました。
3月8日の「婦女節」は、クラスメートというだけで、男子学生がお湯汲みをしてくれました。女子寮なので男子学生の立ち入りは制限されていましたが、その日だけは、管理人のおばさんも大目に見てくれました。
今、思うとささやかなプレゼントですが、学生時代の思い出として心に残っています。
そんな「婦女節」も現在は1日前倒しの「女神の日」となり、集団告白をする日になっています。
『人民日報』のオフィシャルの微博アカウントでは、「女神の日」の恒例の横断幕の写真がアップロードされると、9000以上のいいねと、4000を超えるコメントがつきました。
この横断幕、いったいどんな内容なのでしょう? 男子生徒が圧倒的に多いと言われ、横断幕の量も質も高いと評判の清華大のキャンパスを見てみると……さすが中国屈指の名門大、かなり凝った文言が並んでいました。
「私はこの横断幕になりたくて、あなたのために暑い太陽を遮り、冷たい北風をブロックする――クラスの全部の女生へ」
「我々にいいアイデアはありませんが、ここで告白します――水工41全体男性」
「今年の夏に、あなたたちをモルディブに連れて行きたいだけ――クラスの8名の女生へ」
「あなたが最も美しい!夏の花のように!」
「drop the pipette, miss, we wanna hold your hand(そのピペットを捨てて、僕と手をつながないかい?)――生物65の女神たちへ」
「Shock!英語51の男性が一晩眠れなかった理由は、それだ……」
「これは大学で一緒に過ごす最後の『女生節』ですが、卒業してもあなたたちは永遠の女神です!」
「政治家は博士の給料を上げるが、われわれは修士の女性たちへ福祉を送る――自動車修士クラス」
「あなたへの愛が罪だと言われるならば、私はもう極悪非道な人間でしょう」
「勉強は大好きだ。でも、あなたのことはもっと好きだ!」
そんな横断幕は、当然、ネット上でネタにされています。各地の大学生たちは、「女神の日」にちなんだネタ横断幕もアップロードしています。
「もし、あなたが他のだれかのためにウェディングドレスを着てしまったなら、私は少林寺の袈裟を着る」
「ZnSO4+Mg=Zn+MgSO4 あなたの『美』が私の『心』を奪いました。化学学部の全体男子生徒が女神たちへ」
(Mgはマグネシウムで、漢字は「鎂」、語呂合わせで「美」、そしてZnは亜鉛で、漢字は「鋅」、語呂合わせは「心」です)
「どんなに計算してもあなたの美を計算できず、どんなに報告してもあなたの美を報告できない――会計クラス」
横断幕に対して女子学生たちはどんな感想を持っているのでしょう?
中国の現役女子大生に聞いてみると、「本気の告白ではないので、別に……」「男女平等の体現?かもしれませんが、実際の就職などには何の役にも立ちませんね」と冷めた意見が目立ちました。
とくにちやほやされがちで、「女神度」が高い清華大の女子大生は、この現象を冷静に見ているようで「いまの女神節や女王節も、男性優位、性差別の表現のよう」という意見が上がっていました。
男子学生たちが、おそらく必死にひねり出している「女神の日」の横断幕の言葉ですが、愛の告白からは、ちょっとずれた盛り上がりになっているようです。
1/37枚