話題
褒められても素直に喜べない… 「心に言葉の保存箱を」漫画家の願い
「私、ほめてもらえても受け止められへんねん 自分に自信ないから」。そんな考え方をやめた女性がいます。
話題
「私、ほめてもらえても受け止められへんねん 自分に自信ないから」。そんな考え方をやめた女性がいます。
【ネットの話題、ファクトチェック】
「私、ほめてもらえても受け止められへんねん 自分に自信ないから」。そんな考え方をやめた女性がいます。その時の思いを漫画に描いてツイッターに投稿したところ、多くの反響が寄せられ、リツイートは6万9千を超えています。作者である女性漫画家に話を聞きました。
2月27日にツイッター投稿された4ページの漫画。登場するのは作者である女性漫画家と、高校時代に部活の後輩だったMちゃんの2人です。
褒められても受け止められないという作者。「せっかくほめてくれてんのに自信のなさが上回って 自分で上書きしちゃうのよ」と話していると、Mちゃんが突然「先輩の手 めっちゃキレイですね」と言いました。
そしてこう続けます。
これまでそうした褒め言葉を受け止めることができなかった作者は、こう思ったそうです。
「せっかくほめてくれたことも 何も私の中にのこってないのよ もらった言葉を保存する箱が私の中になかったからやね」
そして2人は「箱作りましょ」「箱作るわ」と言って、互いにかけあった言葉を箱の中にしまったそうです。
この漫画に対して、「ずっと自分がモヤモヤしていたことがスッキリした」「褒められたことを喜んでいいんだと思えました」「出来そうで出来なくて、でも大切なこと」といった反応が寄せられ、リツイートは6万9千、いいねは10万を超えています。
描いた漫画家はどんな人なのか? 大塚みちこさんに話を聞きました。
「私にとって絵を描くことは『生きるためのサイクル』の一つ。寝たり食べたりするのと同じくらい、それをしないと生きていけないことなんです」
10年ほど前、イラストレーターになろうと大阪から上京。出版社などに売り込んだものの、「お金のために絵を描く」ということに違和感があったそうです。自分にとって絵を仕事にすることが難しいことを知り、いったん描くことを『趣味』にして、小学校の学童保育指導員に。
「子どもたちと関わる毎日があまりにも楽しくて。今感じているこの気持ちは、放っておいたら流れていってしまう。描いて残しておきたい」
そう思って再び漫画を描き始め、出版社に持ち込みに行ったところ連載が決まり、7年間務めた指導員を辞めることに。
「自分にとってどちらも大事で、どちらも片手間では出来ないことでした。でも、子どもたちにもらったチャンス。ここで一度本腰を入れて漫画を描いてみようと思ったんです」
今回の漫画がツイッターで注目を集めたことで、仕事に関する話もいくつか寄せられているといいます。
「見えないものって、なくしてしまいやすいんですよね。でも『心にとどめる』って言葉じゃわかりにくいので、『心の中に箱を用意する』の方がイメージしやすいなあって思って。見えないものと戦うのって、しんどいじゃないですか」
漫画に対して「これが出来たら苦労しない」「どうせ社交辞令じゃん」「そもそも箱の作り方がわからない」といった声も寄せられているといいます。
「まずは作ってみてほしい。そうすることで初めて見えてくることがあるかもしれません」
1/21枚