IT・科学
「まとめサイト」停止で39億円減損…DeNAが「第二の柱」こだわる理由
運営するキュレーションサイト(まとめサイト)で無断転載などが社会問題化し、10サイトを公開停止しているIT大手・DeNAが8日、2016年度の第3四半期決算を発表しました。キュレーションサイトの再開が現状では見通せないため、関連資産の使用価値をゼロとみなし、39億円の減損損失を計上しました。会見で守安功社長は「当然ながらできるのであれば再開したいが、どのような形であれば可能なのか協議をしている」と説明しました。
同社では、昨年12月7日までに女性向けファッションサイト「MERY」など10サイトの公開を停止しています。
守安社長は会見の冒頭で「一連の問題によりまして皆様に多大なご迷惑をおかけしましたこと、おわび申しあげます」と陳謝しました。
再開について第三者委員会だけでなく、社内でも検討を続けていると述べ「どのような運営手法ならアウトプット(掲載内容)に責任を持てるのか、世間的に受け入れられるのか、ビジネスモデルとして成り立つのか総合的に判断したい」と話しました。
記者からはキュレーションサイトへの社会的批判が強まった今、事業が成り立たないのではと指摘も出ました。
守安社長は「まさにその点で、ユーザーに対するバリューがどう提供できるのか協議している」と答えました。
一方で、利益の大半をゲーム事業が稼いでいる現状について「第2の柱を作りたいという思いは変わらない。しかしキュレーションサイトがこのような状況になり、事業構成の再考が必要かもしれない」と述べました。
「第2の柱」へのこだわりは、ヒット作が出るかに業績が左右されるゲーム事業の事情があります。
ガンホー・オンライン・エンターテイメントは、スマホ向けゲーム「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)の失速が響いて、2016年12月期決算は、2015年12月期から2年連続の減収減益になっています。
パズドラが売上高の8割以上を占めるガンホーは、2014年12月期まで3年連続で最高益を更新しましたが、登場から5年を迎えるパズドラは人気が一巡し、月間利用者数は減少。人気の陰りや競争激化で、純利益は2年間で5割以上減っています。
事情はDeNAも同じです。近年はゲーム配信の主導権を米アップルなどが握るようになり、2012年度に768億円あったDeNAの営業利益は、2015年度には198億円に減少しています。
2016年度の第3四半期(昨年10~12月)も、営業利益が前四半期比56%減の34億円にとどまりました。事前見通しから大きく悪化しており、キュレーションサイトをめぐる減損損失が響きました。
DeNAがキュレーションサイトを巡りどのような決断をするか、正念場を迎えています。
1/8枚