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移民の店主がレシートに入れた「言葉」が話題に 「その勇気に感動」
10万弱のリツイート。オーナーに話を聞きました。
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10万弱のリツイート。オーナーに話を聞きました。
【ネットの話題、ファクトチェック】
トランプ大統領が打ち出した、中東・アフリカ7カ国の人々らの入国を一時禁止する大統領令。裁判所が「待った」をかけたためその効力が現在止まっていますが、トランプ大統領は裁判所を激しく非難し、混乱は収まっていません。そんな中、大統領令が出た後に、ニューヨークのレストランがレシートの最後に入れた言葉が、ツイッター上で共感とともに広がっています。その一文は「移民がアメリカを素晴らしい国にしています」。「移民への尊敬を表現したかった」と話すレストランのオーナー。思いを聞きました。
「人種のるつぼ」とも呼ばれる、アメリカ・ニューヨーク市。ブルックリンにある、ニュージーランド料理を出すレストラン「キウイアナ・レストラン」が、今回の舞台となりました。
店名のキウイアナとは、ニュージーランドで有名な物事のことです。例えば、フルーツのキウイや超強豪で知られるラグビー代表の「オールブラックス」などがキウイアナになります。
そんなニュージーランド愛を感じることができるキウイアナ・レストラン。従業員は8人で、席数は30席ほど。ニュージーランドといえばヒツジも有名ですが、おいしいヒツジ肉を提供するお店です。値段もリーズナブルで、店のFacebookにはカジュアルに食事を楽しむ人々の姿があります。
2月5日、このレストランで食事をした客のツイートが、話題を集めました。それはメニューではなく、一枚のレシートの写真。そのレシートには、料理の金額の後にこんなコメントが載っていたのです。
"Immigrants make America great (they also cooked your food and served you today)"
訳すと、こうなります。
「移民がアメリカを素晴らしい国にしています(今日、彼らがあなたの料理を作り、もてなしました)」
Breakfast in Brooklyn pic.twitter.com/JHEtfJhqPO
— Mary Emily O'Hara (@MaryEmilyOHara) 2017年2月5日
トランプ大統領の大統領令で混乱が続く中、率直な思いを、レストラン側がレシートにつづっています。ツイッターを投稿したのは、米テレビ局の女性レポーター。投稿は瞬く間に広がり、すでに10万弱のリツイートがされています。
「勇気がいることだと思うけど、感動した」「移民がいないアメリカなど考えられない」「移民がアメリカを素晴らしい国にする。そしてこれからも!」などと賛意を示すコメントがあり、お気に入りは25万を超えています。
レストランのオーナーは、シェフも兼任するマーク・シモンズさん(37)。そんなシモンズさんに、電話で話を聞きました。
――なぜ、レシートに文を入れようと思ったのですか?
「アメリカに住んでいる私たち、あるいは私たちの祖先は、皆どこかの国から来た移民です。移民への尊敬・リスペクトを表現したかったのです」
――いつ、どうやって文を考えたのですか?
「(入国一時禁止を定めた)大統領令が出た翌日、従業員全員で考えました。私たちは全員が移民、もしくは移民の子孫です。そのルーツはロシアやグアテマラや、ネパールなど、様々です。皆アメリカで一生懸命働いています。この国が大好きなのです」
――シモンズさんのルーツは?
「ニュージーランドで生まれ、2005年にニューヨークに来ました」
――トランプ大統領の入国禁止令についてはどう思いますか?
「移民を全て排斥してしまう今の空気はよくありません。働いている従業員が多少息苦しくなっているのも事実です。それでも、私たちは負けません。多様性を尊重するアメリカで居続けてほしいです」
日本にも来たことがあり日本好きだというシモンズさん。「多様性を尊重するアメリカで居続けて」という最後の言葉に、力を込めていました。
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