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グルメ

なぜそうなる?昆虫まみれの「恵方巻き」 味と狙いを確かめてみた

ツイッターで話題になった昆虫まみれの「恵方巻き」
ツイッターで話題になった昆虫まみれの「恵方巻き」

目次

【ネットの話題、ファクトチェック】

 2月3日の節分に合わせて、今年も「恵方巻きブーム」が起きています。「恵方ロール」「うどん巻き」に「恵方巻サイダー」……。もはやどういう風習かも分からなくなりかけますが、ツイッター上ではついに「虫恵方巻き」なるものが話題に。ネタかと思い、店を訪ねると、熱すぎる「昆虫愛」がありました。

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 やってきたのは、東京・高田馬場駅からほど近い獣肉酒家「米とサーカス」。「東洋の見世物小屋」をイメージした店内に入ると、日常と隔離された異空間にいるような気分になります。

 早速、虫恵方巻きをオーダー。店長のカケル団長(26)が、食材を用意し、「虫」たちとご対面です。

「東洋の見世物小屋」をイメージしたという店内
「東洋の見世物小屋」をイメージしたという店内

まずは、タイワンツチイナゴ

続いて、カイコ

最後にハチノコ

 この3種類の昆虫を、カケル団長が卵焼きと一緒に巻き上げます。

そして完成、そのビジュアルにあぜん

 巻いた後は、のりにイナゴの脚を差して、触角のニンジンをつけると完成です。ツイッターで画像は見ていましたが、こぼれ出そうなイナゴやカイコのビジュアルに、来てしまったことを少しだけ後悔してしまいました。

完成した虫恵方巻き
完成した虫恵方巻き

 一緒に取材をした、昆虫食未経験の「のぐっちゃん」はこの表情。

その味は……

 とはいえ、このままでは引き下がれません。今年の恵方、「北北西」を確認し、勇気を出して、のぐっちゃんからいざ実食。食べにくいので脚は抜いて、かぶりつきます。

 情報提供をしてくれた大学生の「とばちゃん」もガブリ。

 私もいただきました。

 

のぐっちゃん

ん!おいしい!甘辛くて香ばしいです。

 

カケル団長

甘辛いのは、ハチノコのつくだ煮ですね。

 

とばちゃん

カリカリした食感もあって、普通に食べられます。

 

カケル団長

カリカリしているのは、イナゴを揚げたからです。

 

たんじ

苦みがするのは何ですか?

 

カケル団長

それはカイコです。栄養があって、食べて味が分かりやすい3種類を選びました。

 

 

ほかにこだわった点はありますか?

 

 

子どもにも喜んでもらえるように、脚を付けて「キモかわいい」虫を目指しました。

 

 

どれくらい時間がかかりましたか?

 

 

だいたい30分ぐらいですかね。

 

 

短っ!!

 イナゴの脚がちょっと食べづらかったですが、味については3人とも違和感なく受け入れることができました。

イナゴチョコから始まった

 「おいしいご飯とエンターテインメント」を提供することをコンセプトに、約6年前のオープンからクマやイノシシなどのジビエを取り扱っているこのお店。4年前からシカのひき肉を使った変わった恵方巻きなどを作っていたそうですが、昆虫は初めて。

 ブランディングを担当する宮下慧さん(31)によると、昨年から昆虫食を定番メニューに採用していて、お客さんの反響も大きいことから、虫の恵方巻きを思いついたそうです。

虫恵方巻きについて話す宮下慧さん
虫恵方巻きについて話す宮下慧さん

 昆虫食のそもそものきっかけは、一昨年のバレンタインデー。チョコレートの上にイナゴを乗せた「イナゴチョコ」をお客さんにプレゼントしたところ、好評だったそうです。

 でも、なぜイナゴを? 完全にインパクト勝負だろうと思って質問すると、宮下さんは「イナゴに親しんでほしいんですよ。イナゴに」と即答。色づけされた円形のチョコにイナゴのつくだ煮が載ったイナゴチョコの写真を差し出して、「見てください。すごく可愛いでしょ」と目を輝かせながら話します

2015年のバレンタインデーで作った「イナゴチョコ」
2015年のバレンタインデーで作った「イナゴチョコ」 出典: 米とサーカス

専門家が監修も

 そこから、昆虫食の研究を始め、昨年2月には茶わん蒸しやだし巻き卵、チャーハンなどに昆虫を入れたフェアも開催。3月からはイナゴや昆虫のほか、ゲンゴロウなど6種類の食べ比べセット(1500円)を販売しています。

 宮下さんは、昆虫食の愛好家が集まる勉強会にも参加。そこで交流が生まれた「食べられる虫ハンドブック」を出版した「昆虫料理研究会」代表の内山昭一さんや、「虫食いライター」のムシモアゼルギリコさんには、メニューの監修などをしてもらっているそうです。

イナゴ・カイコなどが味わえる昆虫の食べ比べセット
イナゴ・カイコなどが味わえる昆虫の食べ比べセット 出典: 米とサーカス

ファーストインプレッションが大事

 もともとグラフィックデザイナーなので、昆虫食以外の企画をする時も、ファーストインプレッションを大事にしているという宮下さん。店内には工夫を凝らしたこれまでの企画のポスターがたくさん貼られています。

 特に昨秋には、鯨や豚、山羊の睾丸(こうがん)などを揚げたり焼いたりしたフェアを「キンタ祭り」と名付けたところ、大きな反響があったそうです。

食への好奇心を育てて

 「知らない食べ物を知るのって楽しい。もっと食に対する好奇心を育ててほしい」と話す宮下さん。怖い物見たさで昆虫を注文するお客さんも、キャーキャー言いながら完食する人が多いそうです。

 虫恵方巻きもその延長のようです。昆虫食を代表するイナゴ(今回はサイズが大きいタイワンツチイナゴ)は、高たんぱく低脂肪で、ビタミンEなどの栄養素も豊富。カイコやハチノコも貴重なたんぱく源として各地方で食べられてきた歴史があります。

 「生理的にダメだなって思う人にも楽しんでもらえるようにしたい」と宮下さんは話します。

昆虫食について語る宮下さん
昆虫食について語る宮下さん

タブーはないの?

 扱っている獣肉や深海魚は約30種類、そして昆虫。メニューにタブーはないのかと最後に聞くと、こんな答えが返ってきました。

 「ゴキブリとクモだけはちょっと無理だと思います」

 虫恵方巻きは3日に20本限定(1本1500円)で販売。問い合わせはお店(03・5155・9317)まで。

【関連リンク】「米とサーカス」のページはこちら

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