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卓球「みう・みま」ペアは解散? 全日本Vの平野、新しい相棒は…
1月22日。卓球の全日本選手権の閉会後に、世界選手権(5月開幕、ドイツ・デュッセルドルフ)の代表が発表されました。史上最年少の16歳で女子シングルスを制した平野美宇(み・う)選手は、シングルス、ダブルス両方の代表に選ばれました。ここで、ちょっとした驚きがありました。ダブルスのパートナーは、長年ペアを組む同い年の伊藤美誠(み・ま)選手ではなく、エースの石川佳純選手。初めての組み合わせです。その理由は――。(朝日新聞スポーツ部・前田大輔)
平野選手と伊藤選手は「みう・みま」ペアとして有名です。5歳で初めてコンビを組み、2014年に、14歳で国際大会・ワールドツアーのグランドファイナルで優勝しました。昨年8月のリオデジャネイロ五輪は伊藤選手が代表に選ばれ、平野選手は補欠になりました。「みう・みま」ペアは、いったん活動休止となりましたが、リオ五輪後に復活すると思われていました。
世界選手権のメンバーが発表されました!
— 伊藤 美誠 (@MSLpN5xiejmc2Ho) 2017年1月22日
シングルス、ダブルス共に出場できることになりとても嬉しく思います!!
ダブルスはまた新しいペアになりますが一から練習して世界選手権では最高&最強のペアになれるように頑張ります💪#みまひな#頑張ります💪 pic.twitter.com/5ZSTjPLQ1F
なぜ、平野選手は石川選手と組むことになったのか。全日本で最年少優勝した平野選手に比べ、伊藤選手は今回5回戦で敗退。力の差が開いてしまったからなのか、とうがった見方をするファンもいそうですが、違うようです。
リオ五輪後に日本女子の監督に就任した馬場美香さんは、こう説明します。「平野選手が左利きの石川選手と組むことで、(世界最強の)中国に勝てるペアを目指そうと考えました」
卓球のダブルスでは、左利きと右利きの選手を組み合わせることが多いです。1球ずつ交互に打つため、利き腕が違う方がフットワークがしやすいからです。
平野選手はリオ五輪のメンバーから外れた後、より攻撃的な戦術に変えました。ウエイトトレーニングを採り入れた結果、球のスピードや回転量が増し、ラリーのテンポも上がりました。「利き腕の違う石川選手と組んだ方が、より速くて攻撃的な卓球ができるのではないか」と馬場監督は考えたのです。
もう一つ、大切な理由があります。「2020年東京五輪を見据えてのペア編成だ」ということです。
ダブルスは、五輪で団体戦の3番目に行われます。団体戦に出られるのは3人だけ。様々なペアが組めた方が、相手に読まれにくいオーダーを作れます。日本女子が初めて銀メダルを獲得した2012年のロンドン五輪では、石川選手と福原愛選手、石川選手と平野早矢香選手という二通りのペアを使い分け、決勝まで進みました。
石川、平野、伊藤に、結婚して休養中のベテラン福原の各選手。若手も成長しており、東京五輪出場の3枠をめぐって、個々の競争は激しくなります。ダブルスで実戦を積む経験は、シングルスよりも限られます。「東京五輪に向け、早い段階から様々なペアを試そう」という意図も垣間見えます。
というわけで、このまま「みう・みまペアが解散しちゃう」ということではありません。プライベートでも一緒に買い物に出かけるなど、仲が良い二人。お互いが切磋琢磨して、東京五輪で目標の金メダルをつかみ取って欲しいですね。
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