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トランプ夫人、やはりボディコン風で就任式 歴代夫人はどんな装い?
米ファッション界の反応は?
アメリカの第45代大統領に就任したトランプ氏。「アメリカ・ファースト」を前面に打ち出した就任式では、新たにファーストレディーとなったメラニア夫人のファッションにも注目が集まりました。そのメラニア夫人が身にまとったのは、米国の大御所ラルフ・ローレンがデザインしたスカイブルーのジャケットとドレス。上品な立ち襟で長身の体を包む衣装は、彼女がこれまで好んできた1980年代風のボディーコンシャスなスタイルに沿った印象です。(朝日新聞編集委員・高橋牧子、文化くらし報道部・高久潤)
ファーストレディーのファッションは世界的に注目の的となります。その着こなしは夫の政治姿勢や、彼を選んだ米国民の民意を反映または先取りしていることも多く、時に流行のリーダーにもなってきたからです。
しかし今回は、就任式前から米国のファッション界は揺れました。多くのデザイナーが対立候補のヒラリー支持を表明。現地メディアによると、昨年11月、ある女性デザイナーが「人種や性差別の表現、外国人を憎悪する彼女の夫の姿勢は、私たちが大切にする価値観と一致しない」として、メラニア夫人に自分の服を着て欲しくないと発言。
これにマーク・ジェイコブスら米国の人気デザイナーらが次々に賛同しました。トム・フォードはテレビ番組で「数年前に(夫人からの)衣装の提供依頼を断った」と明かし、「彼女は必ずしも、僕のイメージではなかった」と語り話題に。
一方、トミー・ヒルフィガーらは「着てもらえるのは名誉なこと」と発言。米ファッションデザイナーズ協議会のダイアン・フォン・ファステンバーグ会長は「メラニアも歴代の大統領夫人と同様、尊敬を得るべきだ」と中立の立場を表明しました。そんな米国の状況に、フランスの重鎮ジャンポール・ゴルチエは「議論は意味がない。彼女は上手に服を着ている」と擁護しました。
メラニア夫人のファッションが論争を呼ぶのは、ミシェル・オバマ前大統領夫人のスタイルが強い印象を残したせいもあるかもしれません。2009年の就任式後の舞踏会で、当時まだ無名だった台湾出身のジェイソン・ウーのドレスを着用。その後も米国の若手や非白人系のブランドの服を多く着用し、ギャップなど安価な大衆ブランドもセンスよく取り込んで、多くの女性たちの共感を呼びました。
オバマ前大統領が目指した寛容や多様性の尊重といった価値観をファッションでも体現していたからです。
一方、メラニア夫人だけでなく、自らアパレルブランドも手掛ける娘のイバンカさんも同様のボディコンスタイルを好んできました。どちらも長身でロングヘア、この格好がよく似合います。
ファッション界では近年、反グローバル化の動きや多様化する社会を背景に、シンプルで実用的な「ノームコア(究極の普通)」や、性差のない「ジェンダーレス」のスタイルを打ち出すデザイナーやブランドが多くなっています。
就任演説で「米国を再び偉大に」と高らかにうたったトランプ氏に、80年代を思わせるドレスで寄り添うメラニア夫人。時計を巻き戻すことができるのか。それが果たして米国民の願いなのだろうか。新ファーストレディーの装いの今後が、さらに話題になりそうです。
ファーストレディーのファッションは、その時の社会の雰囲気を映したり、新たなトレンドを生んだり、何かと話題に。歴代の主なファーストレディーたちはどんな衣装で登場したのでしょうか。就任式当日の衣装を調べてみました。
今なおファッションのお手本とされるのが、ケネディ元大統領(在任1961~63年)の妻のジャクリーンさんです。大統領選のキャンペーン中から、つばのないピルボックス帽とAラインのコートという独自のスタイルが爆発的なヒット。若い女性の憧れの対象になりました。
そんなジャクリーンさんが就任式で着たのは、友人のデザイナー、オレグ・カッシーニによるシンプルなドレス。舞踏会ではエセル・フランカウの白いドレス姿で登場しました。ファーストレディーとしては、ディオールやヴァレンティノなど欧州ブランドも多く身にまとったジャクリーンさん。その後の経済社会のグローバル化を予見していたとも言われています。
ジャクリーンさんの気品漂う装いは今もファーストレディーの代名詞的な存在で、トランプ新大統領の妻メラニアさんも就任前、ジャクリーンさんに学びたいと発言していました。
親しみやすいけれども、エレガント――。そうした評価から時代のファッション・アイコンになったのが、オバマ前大統領(在任2009~17年)の妻ミシェルさんです。在任中はマイケル・コースなどの米国ブランドに加えて、ギャップやH&Mといったお手頃なブランドの服も小粋に着こなしました。
09年の大統領就任式では、キューバ生まれの米デザイナー、イザベル・トレドの黄色のドレスとコートに、足元はジミーチュウのパンプス。その後の舞踏会では、当時無名だった台湾出身デザイナー、ジェイソン・ウーの白いシンプルなドレス姿を披露しました。米国の多様性を象徴するような抜擢(ばってき)と、ミシェルさんのさっそうとした着こなしが大きな話題になりました。
今回の大統領選でトランプ新大統領と最後まで競ったヒラリー・クリントンさんは、夫のビル・クリントン元大統領(在任1993~2001年)のファーストレディーでした。自身の大統領選では明るい色のパンツスーツで全米を飛び回る姿が記憶に新しいですが、夫の1期目就任式後の舞踏会では、夫が知事を務めたアーカンソー州出身のデザイナー、サラ・フィリップスの紫のロングドレス姿で登場しています。
ブッシュ元大統領(在任2001~09年)の1期目の舞踏会で妻ローラさんが身にまとったのは、地元テキサス州のデザイナー、マイケル・フェアクロスの真っ赤なドレス。ファーストレディーとしては宝飾類は控えめで、クラシックで上品な装いを好みました。父のブッシュ元大統領(在任1989~93年)の妻バーバラさんと比較され、新しい「良妻賢母」像を体現したとされました。
俳優出身のレーガン元大統領(在任1981年~89年)の妻ナンシーさんはもともとハリウッド女優として活躍。鮮やかな赤をトレードカラーとしたファッションで知られました。大統領就任式の舞踏会で着た米デザイナーのジェームズ・ガラノスによる、ワンショルダーの白いドレスも、上品さと大胆さで称賛されました。
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