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何年たっても話題に!商店街のポスター群 「はよ作ってや。死ぬで」
4年前の2013年、大阪の商店街で企画されたポスター展がネット上で繰り返し話題になっています。
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4年前の2013年、大阪の商店街で企画されたポスター展がネット上で繰り返し話題になっています。
【ネットの話題、ファクトチェックしました】
ネット上で繰り返し何度も話題になる数々のポスターがあります。2013年に大阪の商店街で企画されたもので、当時制作された約200枚のいずれかがツイッターに投稿される度に「センス抜群」「ほんま最高」と評価の声が上がります。制作者が「作って1年以上経ってからネットでバズったり、何度も話題になったり。普通の広告ではありえない動き」と話すこの企画について、調べました。
「大嶋漬物店」の店主と思われる男性の立ち姿とともに「ポスター? はよ作ってや。死ぬで」のキャッチコピー。「魚心」では「店主がイチバン、ぴっちぴち」の文字に魚拓をとられている男性の姿が。「ビューティーショップドリアン」は、高齢女性の写真とともに「男のために化粧してるうちは、お子ちゃま」とひと言。
ツイッターで定期的に話題になるこれらのポスター。舞台となっているのは、いずれも大阪市阿倍野区にある「文の里商店街」の店舗です。
ポスターが制作されたのは2013年。大阪商工会議所と文の里商店街協同組合が、電通関西支社の協力を得て実施しました。
発案したのは電通関西支社のコピーライターである日下慶太さん(40)。
プライベートで商店街のまちおこしに携わっていたとき、「それぞれのお店のポスター作ったらお店のためになるんちゃうの!」「若手がポスター作ったら勉強になるんちゃうの!」と思ったそうです。
社内で若いクリエーターたちの教育係でもあった日下さん。研修の一環として、若手を交えて大阪の繁華街「新世界」の商店街でポスター展を企画したところ評判に。
これを大阪商工会議所が紹介すると、多くの商店街から「うちでもやりたい」と手が上がり、文の里商店街でも実施することになりました。
文の里商店街では、若手コピーライターとデザイナーの総勢60人ほどが参加。コピーライターとデザイナーが2人一組のペアになってチームをつくり、それぞれが店舗を担当。51店舗を対象に200枚超のポスターを製作しました。
ポスターは、テレビや新聞など30を超えるメディアに掲載。大阪商工会議所では「広告費換算で3億円超のPR効果があった」と分析しています。
なぜ文の里はこんなに話題になったのか? 日下さんは「新世界の企画が話題になり、文の里の時は制作段階からテレビ取材などが入ったんです。これが注目を集めた最初のヤマでした」と話します。
ポスター企画が終了して半年ほど経ったとき、誰かが現地でポスターを撮影してネット投稿すると、まとめサイトができたり、中国語に翻訳されて台湾で拡散したりと、突然ネット上で盛り上がりました。それを受けてさらにテレビ取材などが入り、二つ目のヤマに。
その後も、忘れたころにポスターがネット投稿され、定期的に話題になっています。繰り返す人気の理由について、日下さんはこう分析しています。
「タレントを起用した広告だと、掲載期間が限定されていることが多いのですが、今回は店主さんたちだし、今でもポスターは現地に貼られてます。あと、200枚以上とポスターが多いことも関係しているかもしれません。いずれにせよ、通常の広告だとこうした動き方はしないですね。お金はかかってないけど、自分たちが面白いと思うものを世に出して認められ、『このままやったらええやん』と背中を押してもらえて、僕たちもうれしいです」
今でも日本各地から商店街のメンバーが視察に訪れ、台湾からポスター見たさにやってくる人もいます。
この企画を通じて生まれた変化もあります。商店街の店主たちが、近隣の若手アーティスト団体とコラボして新たなイベントも実施するなど、商店街だけでなく地域に目を向けるようになったそうです。
文の里商店街協同組合の理事長、江藤明さんはこう話します。
「各店舗が100円の商品を用意する『100円商店街』など、地域に根ざした取り組みも続けています。ぜひお越しいただいて、ポスターと実際の店舗や店主を見比べてください」
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